家庭のベッドの上がけにはどのようなものがふさわしいのでしょう?
カバーシーツの上にかけるものは、毛布が一般的でしょうか。つい、見た目のふかふか感に誘われて、毛布を直接肌にかけたくなりますが、ウールは断熱性と保温性、撥水性には優れていますが、汗を吸い取る能力は麻や綿にくらべて劣ります。
ウールの原材料である動物の毛を顕微鏡で見れば、その表面はうろこのようになっていて、外気から身を守るために、水をはじく成分で保護されているからです。私たちの髪の毛と同じような構造です。それを補うのがカバーシーツ。麻や綿は植物性の細い繊維からなり、根から吸い上げた水分を蓄える中空構造をしています。したがって吸湿、蒸散作用に優れています。
毛布よりも軽くて保温性に優れているものに、デュヴェ(羽毛布団)があります。これも原料は鳥の細かな羽毛ですから、性質はウールに同じです。ところが、羽毛を形成する微細な1本を顕微鏡で覗くと、さらに羽のパターンの繰り返し、ウールよりもさらに空気を多くはらみますから、保温性は格段にあります。
デュヴェは、麻や綿のカバーなどで覆うことによって吸湿性を補えます。亜麻のカバーは極薄の織りでないかぎり、同じ厚さのコットンにくらべるとどうしても重いので、せっかくのデュヴェの軽さが意味をなさなくなってしまうかも。軽やかさを好む人には、高密度で織られた薄くて軽いコットンをおすすめします。
日本人は、つい綿布団を思い浮かべて、デュヴェもぶ厚いものを選びがちですが、真冬でも暑すぎて寝苦しいほどです。少し薄手のタイプを選んでおけば、春、秋、冬と3シーズン使えます。最近では、薄いデュヴェを2枚重ねて、ファスナーやボタンで止めたり取り外したりできるものも見かけます。寒い夜のためのもう1枚は、スローブランケットやキルトを足もとに用意しておいて、デュヴェに重ねれば暖かく過ごせます。
ワンルームなどのベッドが直接目に触れる場合は、ホテルのようにスプレッドでベッド全体を覆いつくすほうがスマートですが、ベッドルームが独立してあるときは、スプレッドは必要ないでしょう。覆い隠すのでなく、きちんとベッドを整えて、美しいスローやキルトの用意された光景は、家庭のベッドならではのラグジュアリー感があります。
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