気持ちのいい季節はあっという間に過ぎ、今月は霜月(しもつき)と呼ばれます。その名のとおり霜の降る月ですが、枯れ葉がきれいだなんてうっとりしていると、突然、背中がぞくっとするような冷たい風が吹いて、冬じたくを急かされるようです。
季節はめまぐるしく変化し、極端に激しい温度や湿度の差、そして雨風に対応するだけでも大変な労働を強いられます。生来日本人が働き者で、総じて知恵に長けているのは、自然への適応能力に由来するのかもしれませんね。
そればかりか、風物詩、あるいは歳時記といった風雅な趣を、ふだんの生活に織りこんできました。そうすることで、心身ともに気持ちよく暮らすための工夫をこらしてきたわけですから、そのキャパシティーたるや見上げたものです。上流階級に限ったことならいざ知らず、それが広くおしなべて世間で実践されてきたことは、さらに驚きです。
いまはどうなんでしょう。とある街のカフェでは、寒くてもやっぱり外の空気が好きという人のために、ウールの膝掛けを用意してありました。これも現代の風物詩でしょう。その心づかいに暖かさを感じます。家のなかでも膝掛けやブランケットがソファにかかっていると、冬じたくの感あって、家族は幸せな気持ちに包まれることと思います。
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