パリのホテル・アンジェリーナの隣に、アンジェリーナというサロン・ド・テがあります。ここはケーキのモンブランの発祥の地として有名です。ほとんどの人はモンブランを食べにゆくそうですが、冬に飲む濃厚なショコラ・ショは忘れられない味です。
アンジェリーナで使っているカカオパウダーは、フランス・ペック社製の粒子の細かいダークな色です。ウェブで検索しても入手できます。
灰色の空のもと、キッチンに向かってひとり、甘くほろ苦い人生を味わうために丹精こめて作りましょう。うまくいったら、もうひとり分。重労働ですから、やたらな人に作ってあげられるものではありません。
[材料]
ひとり大さじ1杯のカカオパウダー
ひとり大さじ1杯のブラウンシュガー(これ以上の甘さは好みで)
ひとり200ccのミルク
シナモンスティック1本
[作り方]
カカオパウダーをボウルに入れて、水を50cc加え、木のへらでよく練ります。練ってねってねって……ね。
とろりとチョコレートのようになったらミルクを少しずつ加えて練ります。練ってねってねって……ね。いつも使わない腕の筋肉を鍛えるのにちょうどいい運動です。
鍋にあけます。火をとろ火にして、どんなことがあっても鍋の中身から目をはなさずに、静かにしずかにかき混ぜながら沸かします。沸いたら砂糖を加えて、ふたたび静かにかき混ぜます。
コップに注ぎシナモンスティックでかき混ぜながら、なめてみながら、やけどをしないくらいになったらゆっくり味わいます。
[極める]
とにかく最初の練りが肝心です。このあたりでいいかな、と思ったころあいの2倍は練ってください。練っている最中に腕の筋肉が痛くなります。でもあきらめないで。翌日も筋肉痛です。腕の痛さにひきかえても、その味わいは極上です。
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