暮らしの引き出し
2月の過ごし方

2009年2月掲載

まだまだ寒い日が続きますが、春はもうすぐそこに来ています。土手や道ばたに野の花を見かけるようになりました。なかでも、瑠璃色の小さな愛らしい花が群れて咲くのはオオイヌノフグリ、宝石のように美しい。ヨーロッパ原産だそうですが、明治時代には日本にやってきました。学名はペルシャのベロニカというすてきな呼び方です。

春を呼ぶ野の花を土ごとすくいとって、骨董市で見つけたそば猪口や、素焼きの小さな育て鉢などに盛ってみれば、なかなかの風情です。か細い茎はねじ曲がり、それは冷たい夜風になぎ倒されても、次の朝には陽に向かって立ち直った痕跡なのでしょう。しなやかな野生の生命力を感じます。

どこに置きましょうか。玄関、それともテーブルの上に。盆栽のようで新鮮です。野の花にはたっぷりの陽射しが必要でしょうから、やはり窓辺がお好みでしょうね。

どんな家に住んでいようと、たとえ小さな窓がひとつしかなくとも、窓辺は住居においてただひとつ、パブリックな役目を持っています。窓だけは、住まうあなたのためでなく、外を行き交う人のために、あるいは塀を横切る野良猫に、庭木を訪れる鳥を楽しませるためにあります。窓枠を額縁に見立て、だれもが微笑むような表情にしましょう。

窓辺にカーテンのドレープをイメージするとき、色や素材や模様を選ぶとき、丈を決めるときにも、外からのすてきな眺めを気にかけてくださいな。カーテンやブラインドが外界をシャットアウトするための幕だとしたら……ちょっと寂しい。

花びらが陽射しに輝いたならば、少し窓を開けて風を感じてみて。春の甘い空気です。

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