暮らしの引き出し
作業台としてのカウンター

道具の収納場所を決めると、必要な家具工事が明確に見えてきます。カウンターは水平線を生かして広く見えるように。水平線に沿って、カウンター下の引き出しは等分寸法で、小さすぎず大きすぎず。シンク下、棚の段数は少なく、壁際に柵を作る。上部吊り戸の中は、中仕切りなしの可動棚。これだけです。シンプルに丈夫に作っておきましょう。

もしも収納棚が十分でない場合、かならずコンセントのあるところで使う電気製品や電動調理器具をひとまとめにして、ステンレスや木製のサービスワゴンに収納したらいかがでしょう。厨房機器や業務用のコンテナなどには、スムーズなキャスターと重量に耐える素材と構造のものがあります。必要でないときは、キッチン以外の場所にも移動できます。

カウンターの素材は、デコラやステンレスが安価で実用的です。そして十分に美しい。手入れと管理を怠らない人ならば、天然木の板でカウンターを作るのも、大理石やテラッゾ(人造大理石)を注文したり、左官仕事でタイルを貼るのも夢ではありません。

かつてのヨーロッパでは、大理石のカウンターを好みましたが、あれは見た目の贅沢のためではなく、毎日パン生地やパスタなどをこねたり、のしたりするために必要な台なのでした。使い慣れないとグラスや陶器、ホウロウ製品など、不注意による衝撃で割ったりしますし、しみなどを気にする人にとっては、美しく保つのがむずかしい。それでもビアンコカララなどの天然大理石は、実用として使う作業台には最上級素材でしょう。

棚や引き出しは塗装なしの木板がいいでしょう。引き出しや扉の表面材は、ペンキ塗りかウレタン仕上げで十分です。むしろ、ヒンジやビス、取っ手やレールなどの目立たぬパーツこそ、優れたものを選んでください。扉の開閉や引き出しのスムーズさ、そういった毎日の動作における気持ちのよさが大切ですし、全体の品格は控えめな金具で決まるものですから。

扉なしの場合は配管や配線がむき出しになりますから、見た目に気持ちのいいレイアウトを心がけてください。あるいは、シンクの厚みと引き出しのラインを揃えて、その下部をスカートにしてもいいでしょう。テキスタイルの選び方で雰囲気を変えられます。

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