暮らしの引き出し
暮らしの引き出しについて

連載期間:
2008年8月号〜2009年7月号

「よりよい暮らし」って、いったいなんでしょう? 当然のことながら、それは「こうだったらいいのに」と思い描く夢の生活のことではなく、「自分としてはこう生きたい」という思いにできるかぎり近い生活なのだと思います。

家族構成や職業、収入、食生活、余暇の過ごし方…… さまざまにこうありたいという思いと、目の前の現実があるわけですが、 その両者にどう折り合いをつけていくか、おそらく私たちの毎日はその葛藤の連続なのです。 そして、その折り合いのつけ方しだいで、 日々の暮らしが「よりよい」かどうかが決まるように思えます。

つまり、理想を思うあまり現実への不平不満でいっぱいだったり、 現実に流されっぱなしのあげくに理想を忘れてしまったり……。 きっと、解決策は「優先順位」のつけ方です。 「ここはゆずれない」というポイントと、「ここはガマンしよう」というポイントです。

たとえば、あなた(と家族たち)が、納得できるポイントを見つけ、 それを維持できているとすれば、 日々はなかなかに「よりよい」ものにちがいありません。 そして、あなたの家族が住まう空間は、 きっとすてきな家であるにちがいないと思うのです。

そして年月とともに、あなたは転職するかもしれませんし、 お子さんも独立するかもしれません。 そうなると、また別のバランスで折り合いを見つけなくてはならないはずですし、 そのために、引っ越しを決意することだってあるかもしれません。

ことほどさように、暮らしと、その舞台である家とは、 移ろいやすいものといわざるをえないのです。

だからこそ、私たちは新たなコンテンツを設け、 「よりよい暮らしとは?」という問いを投げかけてみたいと思います。 もちろん、そこに万能な「回答」はなく、 あなたが答えを見つける作業をサポートするために機能するのです。

日々の暮らしにまつわるさまざまなヒントやアイディア、 そこからそれを営む空間に関するヒントやアイディアを導きだし、積み上げていきます。 そのなかから、あなた自身が必要なものを拾い出し、集めて、 「よりよい暮らし」「よりよい家」を設計していく。 そのための資料がそろった「図書館」のような役目を果たす コンテンツを作りたいと考えています。

2008年7月  津田 晴美 +『Nature Net』編集部

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