暮らしの引き出し
換気にはじまり換気に終わる

日本人は比類なき風呂好きです。温泉場や公衆浴場で熱い風呂に浸かり、浴槽の外でからだを洗い、上がり湯をかぶるといった入浴のしかたを、密閉された狭い住宅においてもします。それはまるで、バスルームと、サウナ、プールとシャワールームを全部足したような空間です。防火、防水、換気、衛生および安全条件など、バスルームの設計には世界で最も過酷な条件が課されます。

個々の設備も、たとえば浴槽ひとつをとっても、肩まで浸かる和式、足を伸ばして浸かる洋式、中間の和洋折衷とあり、バスタブメーカーのカタログを見れば、さらにそれぞれのサイズも水の容量もちがいます。これはどういうことを意味するのでしょう。

お風呂とトイレは暮らしの中でとても重要な役目を果たす割には、間取りを考える際には優先されていないということでしょう。リビング、ダイニング、キッチン、ベッド、最後に残った面積でやりくりするためにはさまざまなサイズに対応しなければならないし、さらに前述のような設備を盛りこんで、色のコーディネートもして……かくしてカタログは百科事典のようにぶ厚くなってゆき、選ぶのにも混迷を極めるのであります。

とかく人はかたちや色に目を奪われてしまいますが、快適に使いつづけることを優先させるならば、お風呂場でもっとも気をつけるべきは換気です。換気をするには吸気口(あるいは窓)と、排気口(換気扇)が必要です。湯気は上昇しますから、ともに高い位置に取りつけるのが理にかなっています。ユニットバスではドアにルーバーを設けて吸気口にしています。湿気がこもったままでドアを閉めて換気扇を消すと、風呂場に限らず空気の淀むあらゆるところのカビの温床となります。それは家全体の健康を左右します。

給水と排水と換気、この3つの条件を必須とするキッチンとバスとトイレを合理的に、理想的に配置できるならば、家はもっと快適になるでしょう。家の設計を考えるにあたっては、最優先事項としてこのことを思い出してください。

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