キッチンの壁を考えるときには、まっさきに水濡れ、こぼし汁などの汚れ、油はねの汚れを考えなくてはなりません。キッチンを活用すればするほど、この問題は最優先となります。水濡れは放っておくと水分中のカルキ成分が白い斑になって残り、乾いてしまってからではなかなか落ちません。ケチャップやソースの汚れは時間がたつとシミになります。そして油汚れ。熱せられたはね油は高温ですし、微粒子が空気中に舞って隅々まで広がり、冷めれば粘性があるので、そこにホコリやカーボンが付着して、さらなる汚れを呼びます。
調理をする場所の壁は、タイル、磨いた石材、ステンレスなどが実用的です。滑面は汚れが付着しやすいですが、取り除きやすい。熱や摩耗に強く傷つきにくい。そして表面が冷たいのでカビが生えにくい。とくに金属は菌の繁殖を防ぐ利点があります。
カウンターと同じ素材をある高さまで立ち上げれば、ディスプレイを兼ねたワークトップとなり、実用と装飾を兼ねます。立ち上がり部分はシンクの水はねよけにもなります。さらに、この立ち上げ部分を少し壁から浮かせることによって生じる段差は、奥行きの浅い水平棚のように使え、配線カバーとしての役目も果たせます。いまどきの電化型キッチンにたくさん欲しいコンセントやスイッチも、この立ち上がり面のラインを生かしてディスプレイします。そうすれば操作性もよく、見た目も美しくなります。
それ以外の壁や天井はペンキ塗りやビニールクロスの壁でもよいし、ダイニングに続くのであれば、その天井や壁に準じたほうが一体感があっていいでしょう。
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