暮らしの引き出し
必要なものだけを...

さて、作る料理によって必要な道具が集められ、その必要な道具は使いやすい場所に納められるのが収納なわけですが、収納は扉の向こうに隠されてしまうべきでしょうか?

いまでも歴史ある日本の台所をのぞくと、板を渡して作った簡便な棚の上に、鍋やおひつ、桶やせいろ、笊(ざる)や籠(かご)が伏せられて、食器は重ねて水屋に納められて、全体が見晴らせます。つまりすべてが目に入るのですが、天然の肌合いを生かした木と竹と鉄と銅に素材が限られているために、こざっぱりとした風景をなしています。

それと同じことを、ヨーロッパの家庭でも垣間みることができます。装飾タイルでカウンターを作り、カウンターの下はいくつかに仕切って脚と兼用しています。各ブロックに棚板を渡して、ある区画には鍋や調理道具を重ね、次の区画の棚には角型バスケットを棚板の上に引き出しのように並べてカトラリーやリネンのストック、次の区画には保存のガラス瓶の群れ、といったぐあいです。積み木のように無邪気で単純に統制されています。扉の代わりにカウンターの下にスカートを設けているのが印象的でした。

いずれにも通ずるポイントは、目的のはっきりした道具を最小限に留めて、どれもよく使いこまれて、手入れのゆき届いたものばかりが準備万端、といった姿勢です。

キッチンほど家の中で道具の集中するところはありません。その設計にあたっては、キッチンを制する者は家を制するといわれるほどです。ということは、道具を制する者はキッチンを制するという発想です。次回よりこの方法をいっしょに考えていきます。

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