暮らしの引き出し
入浴に関する「温故知新」?

裸のつきあいと申しますが、温泉や公衆浴場にかぎらず、日本の家庭では、だれかといっしょにお風呂に入ることを楽しみのひとつとしてきました。子どもがまだ小さいうちは、お父さんやお母さんがいっしょに入浴して洗ってくれますし、子どもたちだけの入浴は、わくわくするような水遊びの時間です。小学校の教室で「いやだあ、まだお父さんとお風呂に入ってるの?」などという会話が聞かれると、そろそろ羞恥心の芽生えです。

ひとつの湯船に家族の全員が代わり交代に浸かり、湯を最後まで汚さないために、風呂に入る前に手桶で汲み出してからだを流す。そしてひとたび浸かって温まったら、湯船の外で全身を石鹸で洗い、シャワーあるいは手桶で汲み出した湯で洗い流す。ふたたび湯に浸かり、最後は上がり湯で清めて終える。日本の入浴スタイルはざっとこのようなものですが、精神的な意味合いはさらに深いような気がします。

汗を流す。会話を楽しむ。子どもと遊ぶ。垢を落とす。芯から温まる。話し声の反響音やザバッと湯をかぶるたびにポコポコと鳴る手桶の音、湯けむりのなかで揺れるアヒルちゃん。身も心もゆったりと充足させるのが、日本独自の風呂の文化です。日中ほとんど顔を合わせることのできない家族だから、決して広いとはいえない風呂場にだからこそ、かえって凝縮された時間と空間に特別な想いがあるのかもしれません。

もはや、これはひと昔前の話かもしれません。それとも多くの家庭ではいまもこのような入浴を楽しんでいるのでしょうか? 夫婦のあり方、家族それぞれの思い、ライフスタイルの変化……時代とともに日本の風呂文化も変わりつつあります。風呂にあなたが望むものはなんでしょう? 家族が望むことはなんでしょう? バスルームのことを考えるときに無視できないテーマを、投げかけてみました。

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