いまさらながらの質問ですが、ベッドであなたはどのように寝ていますか? だれもベッドでの正しい寝方など教えてくれないし、尋ねるようなことでもないと思っていますものね。
じつは、布団とベッドでは寝るポジションがちがいますというと、えっ? と驚かれます。
敷き布団を敷いて、枕の上に頭を置いて、仰向けに寝ます。昔は髪を結っていましたから、木でできた箱形の硬い枕を使って首を支えていました。その名残りでしょうか、日本人が比較的硬くて小さな枕を後頭部から首の辺りにあてるのは。こうすると水平の姿勢になります。
かつて、寝台という呼び方があったように、畳ベッドなどは、台の上に布団を載せただけ、床がそのまま浮いたような状態ですから、寝心地は布団と変わりません。
日本のホテルでも、硬いスプリングのマットレスに硬めの枕をひとつだけ用意している場合があります。近代になって、ホテルという西洋的な呼び方をしていますが、もともと旅館から出発しているせいでしょうか、寝台とベッドの折衷案です。しかしながら、寝心地の和洋折衷には無理があります。結果、明けがたまで眠れないこともしばしば。
外国のホテルに滞在すると枕をいくつか用意してあります。ベッドにはひとり2つ、クローゼットにももうひとつか2つ。どうしてそんなにたくさん必要なのでしょう? ベッドでは枕を2枚、下の枕をベッドヘッドに預けるように押しつけて、上の枕を少し手前にずらします。枕は頭の形に添って、さらに首から肩甲骨の中程まで枕をあてます。頭から首、胸となだらかにウエストまで傾斜して、やわらかいベッドにお尻が沈みます。こうすると自然なSカーブを描き、首と腰に負担がかからないのです。
これで2つ重なった枕の謎が解けたでしょう。この2枚の枕は羽毛とフェザーの混合率で硬さや厚さが異なるので、選択と調整がしやすいと思います。通常は下の枕を硬めに、上の枕を柔らかめで薄いものにして、毎晩自分の好みに応じた形に作って寝ます。
寝るとどうも首や肩や腰が痛いといった症状は、もしかして、自分にあったポジションを発見していないために起きているのではないか、と疑ってみたことはありますか。西欧人と日本人では体型もちがうので、どちらがよいとは言い切れませんが、ぜひとも両方体験してから、ご自分が快適なほうをお選びください。
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