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12. 走ること、大好き!
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走るトレーニング
これから走る人の
トレーニング
ここでは、実際に走るときに必要な、実践的なトレーニングの内容について、まとめてみました。

第3回目“ゆっくり走る”では、これから走る人のための走り方について解説しました。ポイントは、ゆっくり長く走りましょうということでした。その理由は、ゆっくり長く走ることで有酸素性運動が継続され、その結果、心肺機能がアップし、長距離向きの筋肉がより鍛えられるからでしたね。

また、実際に走りはじめた人は、ゆっくり長く走ることをつづけることによって、あなたにとってのゆっくりが、だんだん速く、快適になっていったことを実感できたのではないでしょうか? いきなり速く走るのではなく、とにかく、ゆっくり走るからはじめてみるのはいかがでしょうか!
もっと走りたい人の
トレーニング
第8回目の“もっともっと走る!”では、さらにレベルの高い練習方法について紹介しました。ゆっくり走るができるようになった人には、有酸素性運動の運動強度の上限ぎりぎりレベルで走る、“ペース走”がおすすめでしたね。さらに、高度なトレーニングとして、“レペティショントレーニング”や“タイムトライアル”を紹介しました。レペティショントレーニングやタイムトライアルのような、レベルの高いトレーニングをおこなうときは、独学だけでは危険をともないます。専門知識をもったコーチがいることが理想ですが、できれば、いろいろな人から助言してもらいながら、トレーニングに取りくんでもらえればと思います。

また、特殊なトレーニング例として、低酸素環境でおこなわれる“高地トレーニング”についても紹介しました。より高い効果をあげるためには、科学的なトレーニングが不可欠ということですね。ちなみに、2001年の8月、東京都北区西が丘にオープンした“国立スポーツ科学センター”には、高度1800〜3000mに相当する低酸素環境(16.8〜14.4%)を設定できる宿泊室が72室もあり、ここでトレーニングと生活をすることによって、実際に高地でトレーニングしたときと同じ効果を得ることができるというのです。

私の母校である順天堂大学にも最近、同様の低酸素室が設置され、一昔前では世界的に見ても特別な存在だった低酸素環境室が、いまや日本の大学でも設置されるような時代になったということに、驚きをかくせません。
正しいランニングフォーム
を身につける!
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第11回目の“理想のフォームで走る”では、一流マラソンランナーと、一流スプリンターのランニングフォームから、理想のフォームを追求してみました。まず、高橋選手の走りが、腰高で力強く、しかも脚の負担が少ない、みごとなピッチ走法であることがわかりましたね。

次にスプリンターについてですが、カール・ルイスとモーリス・グリーンのフォームを比較したところ、カール・ルイスは自然な脚の動きで、大きなストライドで走り、モーリス・グリーンは大きな筋力を使い、直線的な引きつけと、速いピッチで走るということがわかりました。つまりこれがいちばんというフォームはなく、自分の体型と筋力に適したフォームを身につけた選手が、世界のトップに立てるということなのです。

ですから、みなさんは、一流選手のフォームをただマネするのではなく、ここで私たちが提案した“正しいランニングフォームを身につける方法”をよく読んで、自分の理想のフォームを追求してみてください。

こうして、いろいろなテーマから走ることを1年間考えてみました。もちろん、私たちが紹介したいテーマはもっともっとあります。しかし、これからは、みなさん自身のテーマを見つけながら、走ることを勉強するとともに、走ることを楽しんでいってください。まだ走っていない人には、“私も走ってみようかな!”、すでに走っている人には、“もっともっと走りたい!”と思っていただければ、それが私たちにとってなによりもうれしいことなのですから!

1年間、ほんとうにありがとうございました。
(文:水村 信二 〜 プロファイルはこちらへ


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