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12. 走ること、大好き!
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走ることと記録
走ることを科学する! はやいもので“Scientific Running”の連載も、最終回になりました。この1年間、さまざまなテーマから走ることを科学してきましたが、今回はこれまでの内容を、“走ることと記録”“走ることとからだ”“走るトレーニング”の3つのテーマに分け、それぞれについてふり返ってみたいと思います。
走ることの歴史 第1回目“ラン走ります!”では、走ることの歴史を古代ギリシャの時代までさかのぼってみました。古代オリンピックは、紀元前776年から393年まで、じつに1200年もの長きにわたってつづいた、古代ギリシャ時代のスポーツと芸術の祭典でしたね。しかも、第1回大会から第13回大会までの約50年間は、たった1種目の短距離走、“1スタディオン”だけで競われていたのです。

このことからも、走ることはまさにスポーツの原点といえるでしょう。そして、この祭典が、クーベルタンの呼びかけによって近代オリンピックへと受けつがれ、2004年にはギリシャのアテネで、2008年には中国の北京で、夏季オリンピックが開催される予定になっているのです。つまり、たった1種目の短距離走がオリンピックのルーツだったということを知ってもうらうことで、スポーツを愛好するすべての人に、もっともっと走ることに興味をもってもらいたかったのです。
究極の世界記録 第6回目“記録はなぜ伸びる?”では、究極の世界記録を、100mとマラソンの2種目について予測してみました。その結果、男子よりも女子のマラソンで、世界最高記録誕生のアナウンスが多く聞けそうなことを予測し、2001年にはベルリンマラソンで高橋 尚子選手が、女性ではじめて2時間20分を切る世界新記録を、さらに1週間後のシカゴ・マラソンでは、ケニアのキャサリン・ヌデレバ選手が2時間18分47秒の驚異的なタイムで、世界最高記録を更新することになったのです。

このように、ここで予想したことが見事に的中してしまい、正直、私たちも驚いてしまっています。みなさんも、これからは記録を予想しながら、いろいろなレースを観戦してみるのはいかがでしょうか?
日本発祥の駅伝!
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第9回目“箱根駅伝を楽しむ”では、箱根駅伝の歴史や、選手の練習方法、そして観戦のポイントなどを紹介しました。箱根駅伝ファンの方も、ファンでなかった方も、この回を読むことで、箱根駅伝をより楽しむことができるようになったのではないでしょうか。

また、これ以外にも、箱根駅伝の楽しみはたくさんあります。それが、箱根駅伝で活躍した多くの選手たちが大学卒業後、日本代表選手となって国際大会へと羽ばたいていくということなのです。つまり、箱根駅伝では、近い将来に日本代表としてデビューする若き選手たちの姿を、間近に見ることができる大会でもあるのです。最近では、駒沢大学時代に活躍した、マラソンの藤田選手(富士通)が有名ですし、このような観点から箱根駅伝を観戦してみると、さらに楽しみが広がることでしょう。

さらに、日本発祥の“駅伝”は、いまや“Ekiden”となって国際的な競技会へと発展しています。このように駅伝は、走ることを見る楽しみを増やしてくれる競技であり、みなさんに、そんな駅伝の魅力をここで垣間見てもらえたのではないかと思っています。
(文:水村 信二)


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