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![]() 子供のころ、たまたま、家のなかで1匹の輝いている蛍を見ました。蛍の寿命は短い、ということを聞かされていましたから、こんなに小さなからだでも輝きが大きい蛍を見て、子供ながら、なんとなくせつない気持ちになりました。 ![]() 私が小さかったころ、毎年、父の友人の田舎に蛍刈りに行った。車のヘッドライトを切ると、まっ暗ななかに、ぼおっと浮かび上がる蛍の光。水臭いにおい。つかまえて帰ると、父は、自分で木枠を作り、網を張り、草を入れ、そこに蛍を放した。高さ50センチほどのものだ。霧吹きで水をかけると、蛍が光を放つ。いまでも、懐かしい思い出だ。 ![]() 町のなかを小さな川が流れていました。夏になると蛍が飛び交い、それはあたりまえのことでした。あたりまえのことが、すっかりあたりまえでなくなり、とても淋しいですね。 ![]() 小学2年生まで住んでいた町に、蛍がいました。けっこうにぎやかな町で、車もたくさん通るのですが、家の前にあった電車のトンネルの脇を流れる小さな小川に、夜になると蛍がいっせいに光りだすのです。田舎育ちの私の両親も、海のそばで育ったせいか蛍をはじめて見たようで、毎日、私の手をひいて線路脇まで見にいったものです。 2〜3匹つかまえて、家で虫かごを飽きもせずずっと眺めて、とても楽しかった。引っ越して何年かして、あの町の人から“もうあのホタルいないのよ”と聞かされました。なんでも、当時の国鉄が線路脇の雑草を刈るために、大量の殺虫剤、除草剤をまいたというのです。蛍が住んでいることを知らなかったのでしょうか。いまでもそれが残念でなりません。 ![]() あれは小学生の時のこと……大好きだった男の子とはじめてデートしたのが、近くにある公園の“蛍の里”でした。二人で見た蛍は、とてもキレイで、せつなくて、ほのかな甘い思い出になりました。あのときの蛍の光は、一生忘れません。蛍を見ると、いまでもあのころの気持ちが思い出されます。胸がキュンとします。 |