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 サッカーに多い“ケガ”  肉離れ 


【治療法】段階的リハビリテーションで復帰をめざす

初期の治療では、出血や炎症を最小限にとどめる
初期の治療は、打撲とほぼ同様です。RICE療法を基本として、血腫を除く積極的な治療も行います。最近、胃潰瘍の治療に使われる微小循環改善薬のソルコセリル(商品名:アクトベジン)を筋断裂部に投与すると、早期に治癒が起こるというデータもあり、一部で試みられています。効果を示す場合もありますが、現在のところ、はっきりとした有効性は確立していません。 また、プロスポーツでは軽症の肉離れの場合、完治していなくても現場復帰が求められることがあり、この場合、局所の痛みを感じさせずに、他の筋肉をうまく使ってプレーを行わせる必要が出てきます。そこで、初期の出血や炎症をできるだけ抑えて、できるだけ早くアスレチック・リハビリテーションにもっていくために、ステロイド性消炎鎮痛剤の局所注射が行われることもあります。ただし、使いすぎると治癒を遅らせることになることもあるので、注意が必要です。


各段階で痛みがないことが重要
治癒までに時間がかかる肉離れでは、段階的なリハビリテーションが必要となります。回復の目安は、各段階の動きで痛みのないことです。サッカーのようなスプリントを行うスポーツでは、まず、ウォーキングからジョギング、さらにある程度、求心性に筋肉を収縮させても痛みがないという状態が、第一段階のリハビリテーションになります。 さらに、瞬発系の動き(アジリティ)によって筋肉に遠心性収縮を起こさせ、痛みが出るかどうかが、次のチェックポイントです。これを過ぎれば、スプリント系のリハビリテーション、つまりダッシュなどが痛みなくできるかどうか、そしてダッシュがクリアされれば、最後に、実践的な動きのなかでその筋の持久性の回復をみます。また、コーディネーション・トレーニングや筋力トレーニングなどで、健側と比較して90%以上まで患部の筋出力が回復するのが理想ですが、現実的にはかなりの時間を要するので、完全にクリアする前の段階で、ゲーム復帰をさせています。 マシンを使ったリハビリテーションができる場合は、患部の炎症がある程度治まった早期から、心肺機能を落とさないような有酸素系のトレーニングも含めて、患部以外の筋力トレーニングを行った方がよいでしょう。


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物理療法と並行して行う

リハビリテーションと並行して、物理療法を行うことも重要です。物理療法は、急性期の炎症が治まった後に開始します。局所の血流をよくして、治癒を促進させるという考え方にもとづき、温熱療法、交代浴(温熱、冷却を繰り返すような療法)などが行われます。また、損傷部周辺のマッサージや鍼なども、周囲の筋肉の緊張をほぐして、局所の血流をよくするため、効果があります。



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