環境報告書ガイド

●環境報告書って、なんだろう?
A) そもそも、“環境報告書”とはなに?
1) いつ、どこで、誰が、はじめた?
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2) 表現方法や盛りこむ内容
などの“きまり”は?
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3) 2002年春、日本での現状は?
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B) “環境報告書”の
読み方・使い方・確かめ方
1) 報告書を“読み進む”、その前に
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2) 環境報告書の構成要素に着目
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3) これだけは知っておきたい環境用語
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ゴミちゃんのイラスト
A
1)いつ、どこで、誰が、はじめた?
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世界で最初の環境報告書は?
環境報告書といえば、はずせないのがこの出来事だそう……。おぼえている人もいるかな? 1989年、エクソン社のタンカー“バルディーズ号”がアラスカ沖で座礁して、積荷の原油約4万2000キロリットルが海上へ流出した事故のこと。

防除作業の遅れもあって、流出した原油は一帯の海岸に広がって、数多くの海鳥や魚類、ラッコやアザラシたちが死んでしまったのよね。

当時、汚染された海域の清掃のために、エクソン社は20億ドルもの出費があったとか。そして10年以上が経ったいまでも、汚染された海域の生態系に影響を残しているんですって。いかに、大きな事故だったかということですね。

これをきっかけに、企業の経済活動と環境保護の両立をめざして設立されたのが、NGOのCERES(Coalition for Environmentally Responsible Economies)。設立にあたって提唱された環境憲章は、当初、“バルディーズ原則”の名で呼ばれていました(94年に、“CERES原則”に改称)。

署名しているのは、GM、コカ・コーラ、ポラロイドなど、約50の企業と、投資、環境、宗教などの約60団体。“CERES原則”には、生物圏の保護やエネルギー節減、安全な製品とサービスの提供、環境の復元など、環境に対する責任が明記されていて、各団体はCERESが定める様式にそった“CERES報告書”を出すことになっています。

いっぽう、投資家たちはこの報告書を見ることによって、企業が環境にどのような配慮をしているかを判断して、投資を考えられるようになりました。

企業が環境に責任を持つことを宣言したものとしても、また、一定のガイドラインにそった“環境報告書”としても、これが世界で最初のものだそうです。
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“会社案内”とは、なにがちがう?
どの会社も出している“会社概要”や“会社案内”。就職活動のときに、取り寄せたことのある人もいるんじゃない? ある企業について、事業の内容、売上高や従業員数、生産している商品や、工場数などを知りたいと思ったら、まずはこれを読みますよね。いまでは、それぞれの自社ホームページでも見ることができるけれど……。でも、これはあくまでも、その企業のひとつの顔にすぎません。

想像したことはありますか? ボールペンでも、パソコンでも、清涼飲料水でも……製造過程で出される水、電気、ガス、石油などのさまざまなエネルギー。製品を輸送する段階での、トラックなどから排出されるCO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)。わたしたちが利用することによって生じるCO2や、商品寿命を終えてゴミになるとき、あるいはリサイクル時に、ふたたび、電気やガスなどのエネルギーを消費し、排水や排気ガスを生むことになる……商品のかたちやプロセスにちがいはあっても、商品のライフサイクルすべての段階で環境に負荷をあたえているんです。

企業にとっては、こうした環境への負荷をどのように減らし、どのようなかたちで責任をもつか。さらに、環境保全にどのような対策をとるかが、問われている時代なんですね。

かたちあるものを世に生み出すのと同じ重さで、環境との関わり方を見つめていく……その姿勢をまるごとあらわしたものが、“環境報告書”だということ!
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