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11. 理想のフォームで走る
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理想のフォームとは?
理想のフォーム
は、十人十色!
これまで、高橋選手、カール・ルイス、モーリス・グリーンのフォームの特徴を見てきましたが、彼らのような一流ランナーのフォームが、はたして理想のフォームなのでしょうか?

結論からいえば、そんなことはありません。体型や筋力がちがえば適したフォームはちがいますし、からだの硬さによってもちがってきます。まさに、フォームは十人十色なのです。高橋選手の腕振りや、モーリス・グリーンの深い前傾角度などは、高い能力にウラづけられた個性であり、彼らにとっての理想の動きなのです。したがって、すべての選手に共通した、理想のフォームなど存在しないのです。

しかし、自己流のでたらめなフォームと、個性的なフォームはちがいます。正しいフォームは、ランニングのエネルギーロスを少なくし、ケガの予防に役立つのです。基本の上に成りたっているのが個性で、基本ができていないのが自己流と分けることができるでしょう。ゆっくり走るときの基本的なポイントを、8回目の[もっともっと走る!]で紹介しましたが、さらに速く走るためには、背筋を伸ばし、着地した脚にしっかり体重が乗っかり、力強くキックできる正しい基本的なフォームを身につけることが大切なのです。
ランニングの
理想のフォーム
を身につける
そこで、長距離走をおこなうときの正しいフォームを身につけるための方法を、今回のまとめとして紹介したいと思います。それは、正しいと思える選手のフォームをまねることなのです。そのためには、まねたい選手のフォームをイメージして、まずは正しく歩くことです。歩くことは走りの基本なのです。さらに、補強運動などをおこない、筋力の強化をはかることが理想的です。下記の表を参考にしながら、これらを実践して、基本にのっとった、あなただけのフォームを身につけてください。そして、それが、もっともエネルギーロスが少なく、ケガを起こしにくい、つまり、あなただけの理想のフォームということになるのですから!
 
正しいランニングフォームを身につける方法
1) よいフォーム
を見る
マラソンのテレビ放送をビデオに撮り、自分の好きなランニングフォームを何度も見る。ただし、ストライドが広くダイナミックなフォームは大きな筋力を必要とするので避ける。
2) 自分のフォーム
を確認する
自分のフォームをビデオ撮影して確認(自分の想像と大きくかけ離れていることが結構多いので)。ビデオ撮影できなければ、ガラスに映った姿や影を見てチェックする。なおすべきところが意識できないと、フォームの矯正は絶対にできない。
3) イメージする
自分が好きな選手のフォームで、自分が走ったときの姿を想像する。想像力の世界であるが、大切なトレーニング。
4) 歩く
フォームをイメージしながら、今月号のAページで紹介したように、腰を意識して歩く。少し大股で、リズミカルに歩くことが大切。しっかり歩けるようになるまで続けることが、もっとも重要。一流選手でも、歩くことでフォームチェックすることがある。
5) ゆっくり走る
しっかり歩けるようになったら、ゆっくり走る。最初は走ったり歩いたりしながら、常にフォームをイメージする
6) 速く走る
ゆっくり走ることに慣れてきたら、速く走ってみる。イメージしたフォームに近い人と、いっしょに走ることができたら理想的。
(文:塩田 徹 〜 プロファイルはこちらへ


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