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08. もっともっと走る!
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トレーニングの注意点
全力をだし切らない
トレーニング
最後に、実際にトレーニングするときの注意点について、考えてみたいと思います。

持続走をおこなうときに、もっとも気をつけてもらいたいことは、全力をだし切らないことです。全力で走ったほうが、効果的だと思っている人はいませんか? たしかに、ゼーゼーしながら、歯を食いしばって走っている姿を想像すると、いかにも有酸素的な能力が向上しているような気になります。しかし、有酸素的能力を向上させる大切なポイントは、いかにより長く、より頻繁にトレーニングするかにあるのです。

遅いペースでは70〜90分、中くらいのペースでは60〜80分、速いペースでは60分程度走りつづける必要があります。これを1週間に4日おこなえれば理想的です。全力走だと、そんなにしてしまうと、きっと疲れて走れなくなってしまいます。もし、後半苦しくて、ペースを維持できなくなるようでしたら、そのペースは速すぎるということになるのです。とにかく、長い時間走れるようになることを心がけてください。また、一度にそんなに時間を割けないという人や、走りはじめてすぐの人は、30分位の持続走を2〜3回おこなうようにしても、効果は変わりません。
障害をおこさない
トレーニング
さらに、ここでもうひとつ注意してもらいたいことがあります。それは,障害をおこさないということなのです。第7回目で走ることでおこるケガについての解説がありましたが、障害の発生をおこしやすい要因にあてはまっている人は、とくに注意してください。障害によって1か月走れなくなったら、それ以前の3か月のトレーニングがムダになると考えてください。

前のページで紹介した高地トレーニングが、マラソン選手の間で再評価されるようになった背景には、平地での月間走行距離が1000kmを超えるようになり、障害をおこさないでおこなえるトレーニングがほぼ限界にきており、その質を高地トレーニングによって高める必要性にせまられたということもあるのです。

ランニング障害をおこさないようにする対策として、トレーニング記録を残すことをすすめます。あなたは過去1週間のトレーニング内容を、思いだすことができますか? では、1か月間はどうですか? 走りすぎもランニング障害をおこす主要な原因のひとつですから、すくなくとも1、2か月間のトレーニング内容を、把握する必要があるのです。それによって、トレーニングを過不足なく計画的に実施していきたいものです。

〔トレーニング記録の記入例〕
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上記の記入例にプラスして、走った時間、距離と速さも、最低限チェックしておきましょう。また、走りだす前の体調と、走ったときの様子なども簡単に書いておくと、あとで見たときに大変役にたちます。トレーニング終了後、みなさんにとっていちばん書きやすいときに、記入してみてください。
コーチや仲間と
いっしょに走る!
そして、理想としては、走る仲間と専門知識をもったコーチをあなたに見つけてもらいたいのです。コーチからはランニング障害対策やトレーニング方法を含め、走ることのいろいろな情報を得ることができるはずです。また、激しいトレーニングをおこなうときには、仲間がはげみになるはずです。

コーチの指導のもと、楽しい仲間といっしょにトレーニングすることが、速く走れるようになるためのいちばんの近道なのかもしれませんね!
(文:塩田 徹 〜 プロファイルはこちらへ


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