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■ | スポーツでおこる ケガの種類 |
ところで、スポーツ活動が原因となって発生するケガを、総称して“スポーツ傷害”といいます。スポーツ傷害はさらに、急性的なケガである“スポーツ外傷”と、慢性的なケガである“スポーツ障害”にわけられます。スポーツ外傷とは、打撲、捻挫、肉離れ、脱臼、骨折などに代表される事故性の高いケガで、スポーツ障害は、同じ動作の繰りかえしによって、からだの特定の部位にかかる負担が少しずつ蓄積されていき、あるときに痛みを伴う症状としてあらわれるケガなのです。また、スポーツ障害のなかで、ランニング動作が原因となって発生するケガを“ランニング障害”といい、その例として、ランナー膝、シンスプリント、疲労骨折、アキレス腱炎などがあげられます。
先程の箱根駅伝で棄権してしまった選手ですが、病院で、足の甲にあたる部分の骨の“疲労骨折”と診断されました。走ることによっておこるケガは多々ありますが、この場合は、普段のハイレベルの練習メニューによってからだへの疲労が蓄積されていった結果、たまたま本番である試合中に激しい痛みが表面化してしまった……まさに、スポーツ障害のなかの、ランニング障害の実例だったのです。 |
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■ | ランニング障害が 発生する部位 |
その結果、ランニング障害を経験した者は、154名中107名で、ランニング障害の総件数は213件でした。図は、ランニング障害213件を100%として部位別発生頻度の結果をしめしたものです。ランニング障害発生部位の上位5つを挙げると、1位“膝”、2位“脛骨部(むこうずねの骨)”、3位“足アーチ(土踏まず)”、4位“アキレス腱”、5位“中足骨”となりました。 週に5日間、ランニングをふくむ練習をしている選手を対象としたこの調査結果は、日本体育協会スポーツ科学研究報告書に発表された、一般ランナーを対象とした研究結果とほぼ同様のものでした。つまり、走る動作をふくむスポーツをおこなっている人が、膝、むこうずね、土踏まず、アキレス腱、足の甲などに痛みを感じはじめたら、ランニング障害かもしれないと疑うべきでしょう。 参考文献1 山本利春、黄川昭雄、坂本静男、水村信二「距骨下関節の動きとランニング障害との関係―Leg-heel alignmentについて―」『臨床スポーツ医学 Vol.4 別冊 237−277』1987 |
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(文:水村 信二) |
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