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05. 水分って、重要です
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熱中症ってどんな病気?
熱中症の症状と
処置の方法
暑い環境での練習で、体温が上昇するために起こる熱中症ですが、その症状によって、“熱失神”“熱疲労”“熱けいれん”“熱射病”などに分けることができます。ここでは、それぞれの症状や処置の方法などを、日本体育協会発行の『熱中症予防ガイドブック』を参考に整理してみたいと思います。

熱失神 [症状] ヒフ血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などが見られる。顔面そう白となり、脈は速くて弱くなる。
[処置] 涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給すれば、通常は回復する。足を高くあげ、手足を抹消から中心部にむけて、マッサージするのも有効である。吐き気やおう吐などで、水分補給ができない場合には病院に運び、点滴を受ける必要がある。
熱疲労 [症状] 脱水により、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。
[処置] 熱失神とおなじ
熱けいれん [症状] 大量に汗をかき、水だけ補給して血液の塩分濃度が低下したときに、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこる。
[処置] 生理食塩水(0.9%)、あるいはスポーツドリンクなど電解質が含まれているものを補給すれば、通常は回復する。
熱射病 [症状] 体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態で、意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり死亡率が高い。
[処置] からだを冷やしながら、集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要がある。アイスパックや濡れタオルで全身(とくに太い血管がある後頭部、脇の下、股間、膝の裏)を冷やす。水道が近くにない場合には、飲料水を口にふくみ、霧吹きのようにからだに吹きかけて、気化熱冷却をおこなう。
熱中症予防の8か条 スポーツによる熱中症は、選手やコーチの無理解がもとで発生しており、1970年から1999年までの30年間で287件あります。そのうち訴訟例は18例で、指導者・管理者の責任を問われたものが10例ありました(参考図書:『シャボン玉は消えない―部活動で死んだ娘への報告―』著 阿部ヒロ子 あすなろ社 ¥1,600)。このようなことになってしまってからでは、目標にむかってトレーニングをすることもできなくなってしまいます。そうなる前に、みなさんも熱中症の発生原因と処置法、また、予防法についての知識をもっておく必要があるのです。

『熱中症予防のための運動指針』のなかにある、熱中症予防の8か条をここにあげておきたいと思います。

1) 知って防ごう熱中症
2) 暑いとき、無理な運動は事故のもと
3) 急な暑さは要注意
4) 失った水と塩分取りもどそう
5) 体重で知ろう健康と汗の量
6) 薄着ルックでさわやかに
7) 体調不良は事故のもと
8) あわてるな、されど急ごう救急処置
(文:沼澤 秀雄)


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