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04. き、き、筋肉痛です…
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もっと楽しく走る
ウォーミングアップ
とクーリングダウン
“ウォーミングアップはいつもやっています!”といっている人でも、その具体的な時間や、どのような運動がよいのかなどについては、明確になっていないのではないでしょうか? 習慣的に、みんなといっしょに、ただウォーミングアップをやっているということはありませんか? ここでは、からだを温めてパフォーマンスを高め、ケガを予防するためにおこなうウォーミングアップについて、また、レースが終わった後は、つい省略してしまいそうになるクーリングダウンの大切さもあわせて紹介したいと思います。
ウォーミングアップ
の時間と効果
なにも準備運動をしないで、急に走りだすと、苦しくなって走りつづけられなくなります。これは、能力をじゅうぶんに発揮するためには、ある程度の準備時間が必要だということを意味しています。筋肉の温度は、ジョギングなどの軽運動を10〜15分することで、定常状態にまで高められることが知られており、実際の実験データでは、筋の温度を36.6℃から39.3℃まで上げることで、筋肉の最大ピークパワーが約16%増加したことが報告されています。また、筋肉の反応時間が、ウォーミングアップの15分後にもっともよくなることがわかっています。これらを総合すると、15分程度のウォーミングアップが、理想的な時間といえそうです。

しかし、それぞれのスポーツ種目によって、動きや技術の確認などが必要となりますので、各スポーツ種目においてはそれぞれの特性を考慮して、独自の方法でおこなうことも必要でしょう。たとえばサッカーの場合、試合前40〜50分前に集合してウォーミングアップをおこないますが、着替えや監督の指示を聞く時間をのぞくと、実際にからだを動かしているのは30分程度ということになります。

そのほか、ウォーミングアップの効果については、筋組織の粘性を低下させ、筋収縮を円滑にすることにより、作業効率を高めることができることや、運動開始時の酸素摂取量や心拍数応答が促進されること、柔軟性が高まること、運動中の血中乳酸濃度の増加が抑制されることなどがわかっています。ランナーにとって、ウォーミングアップは筋肉に潤滑油を入れて、レースや練習に備える、欠かすことができない作業ということができるのです。
疲れていても
クーリングダウン
graph
運動終了後、安静にしていた場合(赤の線)と、クーリングダウンをした場合(緑の線)の、血液中の乳酸の除去率の変化をしめす図。クーリングダウンをしたほうが、疲労物質の乳酸の半減時間が、2倍ほど速くなっている。
レースや練習終了後は、早くシャワーを浴びて家路につきたいと考えるのは、私だけではないはずです。でも、ちょっとまってください。クーリングダウンをわすれていませんか? なにもしないより、軽い運動を10〜15分おこなって帰ることは、疲れのもとである乳酸の除去率が約2倍速いというのです。最近、サッカーにおいても、“アクティブリカバリー”という呼び方でクールングダウンの研究がはじまっており、毎分150拍の心拍数で、15分間の運動をおこなうことで、乳酸除去率が5%高まったそうです。

このように、ストレッチとウォーミングアップ、クーリングダウンについて知っていると、もっともっと、走ることが楽しくなっていくのではないでしょうか。とくに初心者の方はクーリングダウンを習慣にして、疲れを次の日に残さないようにしたいものですね。
(文:沼澤 秀雄 〜 プロファイルはこちらへ


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