|
|
■ | トレーニング2日後の 筋肉痛は年のせい? |
ひさしぶりに運動したら、翌日よりも翌々日に筋肉痛がひどくなるという経験をしたことはありませんか? “年だから筋肉痛があらわれるのが遅くなったんだよ!”。そんなまわりからの声が聞こえてきそうです。しかし、筋肉痛のメカニズムを考えると、けっして年齢だけでは片づけられないことがいくつかあるのです。
経験的に、年をとると筋肉痛が出るのがおそくなると感じている人は多いと思います。たとえば、子供のころの記憶から、“遠足ではその日の夜に筋肉痛が出たのに、いまは次の日にあらわれる”と感じている人もいるのではないでしょうか。しかし、これはおなじ運動を比較していません。実際に、20歳と60歳の人におなじ運動をしてもらって調べてみると、筋肉痛の出る時期や回復の程度にちがいが見られなかった、ということが報告されています。 筋肉痛は年齢に関係なく、長い時間走りつづけるランニング運動では早く出て、時間的に短く、負荷が大きくかかるダッシュやウエイトトレーニングのような運動では、遅く出るのです。とくに、慣れていない運動をしたりすると、筋肉痛が8〜12時間であらわれ、1〜3日後に痛みのピークをむかえる“遅発性筋肉痛”におそわれるのです。 |
|||||||
■ | 上りより下り坂で 起こる筋肉痛 |
筋肉の収縮様式に、エキセントリックという筋収縮があります。これは、腕相撲や綱引きで、相手の力のほうが強いために引っ張られてしまう状態、あるいは下り坂でスピードが出ないようにブレーキをかけて走るとき、着地する足に体重がかかるために筋が引っ張られる状態で起きる筋収縮なのです。そして、筋肉痛を引きおこすのは、このエキセントリックな筋収縮をおこなったときのみ。つまり、筋肉痛はエキセントリックな筋の収縮によって起こる、筋あるいは結合組織の損傷が原因であると考えられているのです。 したがって、ランニングについていえば、上りよりも下り坂で、いかに着地でブレーキをかけずに走れるか、さらに疲れてきたときに、できるだけフォームを崩さず、重心の真下で、地面に足を接地しているようにするのが、筋肉痛を起こさないポイントになるのです。 |
|||||||
(文:沼澤 秀雄) |