header
02. 走ることと筋肉の関係
B
ATPを作りだす仕組み
ATPを作りだす3つの
エネルギー供給系
“でも、ATPって筋肉にちょっとしかないんですよね。それがなくなったら、どうなっちゃうんですか?”

その通りです。前のページでも書きましたが、ATPは筋肉中に少ししか存在しません。全力で運動をすれば、筋肉中のATPはあっという間になくなり、すべてがADPとリン酸に分解してしまいます。そうなってしまうと、人間はガソリンがなくなった自動車のように、動けなくなってしまいます。

それでは、どうやって人間のエンジン、筋肉は、筋肉のガソリンで唯一のエネルギー源、ATPを作りだすのでしょうか? じつは、ATPからリン酸が1つはずれて、エネルギーを放出する一方で、分解されたADPとリン酸はエネルギーを得ることによって、ATPを合成しているのです。このサイクルが存在するおかげで、筋肉内のATPがなくなることはなく、人間は運動をつづけることができるのです。そして、そのATPを合成するエネルギー供給系は、無酸素性の“クレアチンリン酸系”“解糖系(以下、乳酸系といいます)”、有酸素性の“酸化系”の3つに分類されるのです。

〔ATPの分解と合成の模式図〕
graph
ATPの分離と合成の模式図。ATPがエネルギーを出しながらADPに分離され、筋収縮がおこなわれる。一方、ADPは3つのエネルギー供給系からエネルギーをもらい、ATPを合成する。筋肉のなかで、このサイクルが繰りかえされているのだ!
(文:水村 信二)


A B C 02 top