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08 嗜好品と食生活 〜 たばこ・アルコール・カフェイン


#2 まずは……たばこ

たばこは“百害あって一利なし”といわれますが、たしかに、たばこに関する害についてはたくさん報告されており、喫煙に関係する病気や健康障害の数はゆうに100を超えます。では、そのなかでも、とくにスポーツ選手に関係が深いと思われる健康障害には、どんなものがあるでしょうか。

喫煙は、からだにどんな影響があるの?
illust◎呼吸器系や心臓への負担
たばこの煙は心拍数を増加させ、血管を収縮させて血圧を上げ、心臓に大きな負担をかけます。また煙に含まれているニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質は、気管支や肺などの呼吸器官の機能を低下させます。心肺機能の低下が、運動能力の低下につながることは明白です。

◎酸素不足によるスタミナの低下
運動するとき、からだの細胞は、ふだんよりもたくさんの酸素を必要とします。血液中にあるヘモグロビンは全身に酸素を運ぶはたらきがありますが、たばこを吸ったときに大量に体内に取りこまれる一酸化炭素は、酸素とくらべて200倍以上もの結合力でヘモグロビンにくっつきます。そのため喫煙者のヘモグロビンは、常に酸素を全身に運ぶ能力を大幅にダウンさせているのです。激しい運動ではすぐ息切れを起こしますし、回復も遅くなります。

◎栄養素の破壊
喫煙は、ビタミンAやCなどの栄養素を破壊します。これらが不足すると、風邪を引きやすくなったり、疲れやすくなります。

illust◎ストレスの増加
喫煙は、ストレスを生みます。なんらかの精神的ストレスがあるときの喫煙は、ニコチンの作用により一時的にはストレスを和らげることができるかもしれませんが、一定の期間が経過すると、再び精神は不安定になるとともに、ニコチンの禁断症状が加わり、大幅にストレスを増幅します。
これを解消するために、さらに喫煙が必要となり、結果的に“喫煙により生じたストレスを解消するために喫煙を続ける”という最悪な状態におちいります。したがって、激しい運動によって生じたストレスを、喫煙によって解消することはできません。


◎活性酸素の増加
活性酸素は、私たちのからだのなかに侵入してきた細菌やウイルスを、溶かして除去する役割がありますが、喫煙によって必要以上に大量発生すると、正常な細胞までも傷つけてしまいます。
活性酸素を消してくれる抗酸化栄養素としては、ビタミンA(ベータ・カロチン)、ビタミンC、ビタミンEなどがあります。詳しくは[03風邪の予防と対策]の[#2-2.防衛力を高めよう]の項を参考にしてください。

喫煙による害は、たばこを吸う人ばかりでなく、まわりでその煙を吸う人にもおよんでいます。禁煙は、いまからでも遅くありません。健康維持や競技力向上を望むのなら、禁煙に挑戦してみてはいかがですか?



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