Think about Endocrine Disrupters!


02 どんなものがあるの? どんな影響があるの?


05. 塩素化合物を焼却する際などに発生……ダイオキシン類

ダイオキシンは、その毒性が、ヒ素の数千倍とされる強力な有毒物質です。残留性も高く、ポリ塩化ビニールなどの塩素化合物を焼却する際に発生するなど、意図して作られた物質ではないだけに、ことさらやっかいな存在です。

紙やパルプを塩素漂白する際にもダイオキシンは発生し、その毒性には、発ガン性、免疫毒性、生殖毒性(環境ホルモン)の3種類があるとされています。日本では、ほとんどのゴミを焼却して処理しており、環境ホルモンのなかでも、ダイオキシン問題はとりわけ深刻です。

大阪府能勢町のゴミ焼却施設敷地内の土壌から、高濃度のダイオキシンが検出されたり、埼玉県所沢市の野菜についての報道問題など(ともに1999年・前半期に発生)、マスコミにも多く取り上げられたため、“もっとも有名”な環境ホルモンかもしれません。

この問題に関して、私たちが注意を払わなければならないのは、データなどの“情報公開の必要性”と、“政府、自治体の対策の遅れ”ではないでしょうか。塩化ビニール製品を分別し、焼却場での燃焼管理を徹底すれば、ダイオキシンはかなり減らせるなど、早急に具体的な対策を見つけ出していく必要があるのです。

ちなみに1996年から、ダイオキシンの人体摂取許容量(TDI)は、厚生省の定めでは10pg(ピコグラム*)/kg(1日)、環境庁では5pgと定められています(ドイツの目標値は、1pgです)。その後、1999年7月12日、ダイオキシン法が国会で成立し、TDIは4pg以下と政令で定められました。2000年1月に施行の予定です。

また、1996年に厚生省は、ゴミ焼却施設の排ガス・1立方メートルに対して、ダイオキシン類濃度は80ng(ナノグラム**)までとガイドラインを定め、各施設の調査を開始、各施設も改善に努めています。一方、各自治体も、それぞれゴミの分別方法や指導に力を入れはじめているようです。

しかしながら、焼却施設が設置された地域だけが、この問題を一方的に抱えてしまうのは、明らかに不公平でしょう。私たち1人1人の、ゴミ処理に対する早急な意識の改善と行動が望まれています。

* pg(ピコグラム)=1兆分の1グラム
** ng(ナノグラム)=10億分の1グラム


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化学名:ポリ塩化ジベンソ・パラ・ジオキシン(とくに毒性の高いのは2、3、7、8-TCDD)
有害性・疑いのある有害性: 発ガン性、免疫毒性、環境ホルモン作用
被害・現状など:
・『奪われし未来』から:ヴェトナム戦争時代、北ヴェトナムに散布された枯葉剤によって米国帰還兵にガンが多発、子どもに奇形が生まれた。また、ベトちゃん、ドクちゃんの奇形もこの枯葉剤に暴露したため。北イタリアの町セヴェソで、化学工場が爆発大量のダイオキシンがこの町を覆った。1990年代になると、問題の焦点が、発ガン性から環境ホルモン作用に移り、リチャード・ピータソン、アール・グレイは胎児期におけるダイオキシン暴露による影響を調査。
・日本:大阪府能勢町のゴミ焼却施設敷地内の土壌から、高濃度のダイオキシンを検出。 埼玉県所沢市の野菜についての議論

関連サイト:
助けて! 所沢! ダイオキシン! 
http://www.dioxin.org/
ダイオキシン汚染が深刻な所沢の現状を訴えます。

ダイオキシン関連情報サイト 
http://www.nihs.go.jp/hse/chemical/dioxin.html
厚生省、環境庁など公共機関の情報を多く集めたサイト。


大気中のダイオキシン類濃度と肺ガン死亡割合の関係

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[出所]市民団体“健康を考える会”
[出典]『環境ホルモンのしくみ』 佐藤 淳・著 日本実業出版社・刊



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