![]() ![]() ![]() ![]() ![]() さあ、次は「山手通り」へ。古民家ゾーンとはがらりと風景が変わり、ハイカラな近代住宅が続いています。オランダの住宅デザインを取り入れたという瀟洒な「小出家」に感激し、大きなシャンデリアが輝き、蔵も備えた大邸宅「三井家」の迫力に圧倒されました。 ご婦人たちの目がひときわ輝くのが、大正時代に建てられた洋館「田園調布の家(大川家)」です。居間では白い木枠の窓によりそい、うっとり物思いにふける女性見学客の姿がありました。たしかに、現在ではこれほど情緒と陰影のある家というと、なかなかお目にかかれません。 そして、建築に興味がある人の心を捉えて離さないのが「前川國男邸」です。近代建築の発展に多大な貢献をした建築家、前川氏が昭和17年、品川に建てた自邸です。有名建築家の自邸を見学したくても、外観を眺めることがせいぜいで、このように内部に立ち入ることができる機会は滅多にありません。なので、とくに建築を学んでいる学生さんには夢のような場所だとか。この日、前川邸でボランティアとして解説をしていた方も建築家でした。「尊敬する前川氏の自邸で過ごせるなんて、こんな幸運なことはない。このまま住みたいくらいですね」。 吹き抜けまで続く格子窓から、昼下がりの冬の光がやわらかく降り注いでいます。設計について専門的なことはわからなくても、その空間にいるだけで居心地の良さ、洗練された美しさが体感でき、立ち去りがたいのでした。 ![]() |
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