見て学ぶ・ふれて考える 〜 行ってきました、社会見学!
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第5回 富士山の麓、神秘の森へ〜「富士山・青木ヶ原樹海」〜
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暗くて寒い天然洞窟の氷上を行く

樹海に延びる散策路をゆったりと進むこと1時間。貞観大噴火の溶岩が川のように流れた痕跡である縄状溶岩を越えると、まもなくめざす風穴が見えてきました。パックリと開いた風穴の大きな口から、夏とは思えないヒンヤリとした冷気が漂ってきます。

「富士山の噴火によって流れ出した溶岩は、次第にまわりから冷えていきました。その際、まわりの固まる圧力に押されて、内部のドロドロした熱い溶岩が外へ吹き出すことがあり、その吹き出した後に空洞が残ったのです。そうして生まれた洞窟は、富士山周辺に約120か所、そのうち80か所は青木ヶ原樹海に点在しています。こちらの風穴は、樹海内で1、2位を争う長さで、奥行きは200mほど。今日は約100mのところにあるアイスパレスという場所まで歩きましょう」。

福田さんを先頭に風穴内へ。ハシゴを下りて、なおも斜面を降りていくと、入り口から差しこんでいた光はすぐに見えなくなりました。観光用に整備された洞窟ではないため、照明などは一切設置されていません。風穴内の気温は、0℃以下。

福田さんの「懐中電灯を消してみましょう」という合図で、一同消灯。「うわあ!」「くらっ!」。それまで物怖じせずに参加していた子供たちも、さすがに不安そうな声を上げました。からだがスーッと吸いこまれていきそうな、これぞまさに漆黒の闇。

「さっきまで、懐中電灯の光がずいぶん弱いなあ、と思っていたでしょう。でも、みなさんはいま、真っ暗闇の中で人間本来の野生の視力を取りもどしました。だからもう、この小さな懐中電灯の光でも十分に明るく感じるはずですよ。さあ、スイッチを入れてみてください」。

スイッチオン。再び「うわあ!」という声が上がりました。しかし、今度はとてもうれしそうな弾んだ声でした。「ほんとだ! すごくよく見える!」「わたしも!」。子どもたちの歓声が、風穴内に響き渡ります。

パワーアップした懐中電灯を握りしめて、さらに奥へ進みました。「ここからしばらくは、ずっと足下に氷が張っていますから注意してください」と福田さん。爪先やカカトから着地しないで、足の裏全体でペタペタ進むようなガニマタ歩きがちょうどいいそうです。

入り口から30分以上は歩いたでしょうか。天井の低い氷の通路から、突然、広い場所に出ました。「ここがアイスパレスです!」。美しいドーム型の天井の下に広がるフロアはすべて氷。その中央には氷筍(ひょうじゅん)が何本も立っていました。まさに氷の宮殿です。懐中電灯に照らされてキラキラ輝く氷筍を囲み、記念撮影。足下の氷は、最も深いところで厚さ8m前後にも達するそうです。

氷上ガニマタ歩きに慣れたせいか、帰路はずいぶん早いペースで入り口までもどることができました。見学が終了して地上に出た瞬間、風穴の中で凍りかけていたからだが、ジワジワと溶けていくような気がしました。

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縄状溶岩縄状溶岩の模様を見ると、溶岩の流れてきた方角がわかります。

風穴内風穴内の気温は地上と3か月ズレがあり、最も寒いのは5月、気温がいちばん高いのは10月。

地底ヘルメットと軍手を着用し、真っ暗な地底へと降りていきます。

アイスパレス懐中電灯の明かりに浮かび上がったアイスパレスの氷筍。

地上へ無事に地上へもどったちびっこ隊員たちは「ああ寒かった〜!」。

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