![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 鉄の扉を鍵で開けた鬼頭さんに続いて、中へ。この日は都内初の真夏日でしたが、中はひんやりと涼しくて快適です。いくつか階段を下りてゆくと、いきなり視界が開け、眼前に広がる地下帝国の神殿のような迫力に、ことばを失います。 天井の小窓から、光が細く斜めに降り注ぐようすなど、息をのむ荘厳さ。これまでいく度か、ここ調圧水槽のようすを写真やテレビで目にしていた記者でしたが、実物は想像をはるかに越えていました。 地下約22mに建てられた、長さ177m、幅78m、高さ18mの巨大プール、この大きさをどう表現しましょうか……サッカー場2面分の敷地に、高さ18メートル(ビル6階相当)の柱が59本林立しているという風景を思い描いてみてください。天井を支える重さ500トンの柱、天井に載せた土砂と梁、床のコンクリートには、地下水によるアップリフト(揚圧力)により、調圧水槽が浮き上がるのを抑えるという重大な役割もあるそうです。 「ここでは江戸川にスムーズに水を流すために、地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱めるんです。また、ポンプの運転時に必要な水量を確保することと、緊急停止時に発生する逆流の水圧調整を行う役割もあります」。 今回は、残水処理のため、床まで降りられませんでしたが、見学コースでは決められた範囲内なら、水槽の中を自由に歩くことができます。 ところで、地下だからといって1年中風景が変わらないと思ったら大まちがい。湿度が高い夏はもやが立ちこめ、いっそう神秘的な風景に。逆に湿度が低い冬場は、奥の柱までくっきり見えるとか。世界にひとつしかない風景ですから、映画やテレビの撮影にも大人気、クラシックや太鼓のコンサート会場としても活用されているそうです。。 あまりの絶景に、興奮してシャッターを切る手が止まらないカメラマンをなんとかなだめつつ、地下の神殿から地上にもどりました。扉の外は、初夏のまぶしい光に溢れているのですが、異次元の世界を彷徨っていたような不思議な感覚がまだ残っています。 まさに「縁の下の力持ち」という表現がふさわしい首都圏外郭放水路。みんなの暮らしを守ってくれてありがとう、そう感謝の気持ちを送りながら、見学を終えたのでした。 ![]() |
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