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09. 箱根駅伝を楽しむ
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箱根の観戦ポイント!
各区間のポイント それでは、箱根駅伝の観戦ポイントを、各区間別にピックアップしてみましょう。これを参考にしながら、今年の箱根駅伝の往路・復路の2日間を楽しんでみてください。
 
往路(1月2日)
第1区 1区は駅伝全体の流れをつかむ大変重要な区間。調子がよい選手が区間を制するといわれていますが、順位よりも時間差が気になるところ。各校ともスピードランナーを起用し、その駆けひきが見ものです。コースとしては全体的にフラット。傾斜といえば7.5km付近の八ッ山橋と18km付近の六郷橋だけ。
第2区 いわずと知れた“花の2区”。23.0kmは箱根駅伝のなかで最長区間。横浜横須賀道路のガードをくぐる14km付近から、約1.9kmつづく権太坂は難所で有名。この区間では好不調の差が激しくあらわれるため、よくごぼう抜きが見られる。各校のエースがしのぎを削る、エキサイティングな区間。
第3区 往路の中盤となる3区。11.9km付近の浜須賀歩道橋前をすぎると、左側に相模湾の海、右には防砂林を、そして正面には富士山を望みながら走るという、箱根駅伝でもっとも風光明媚な区間。
第4区 最近の傾向として往路で勝負をかけてくる大学が、この区間に準エース格の選手を投入してくる。平地で、比較的短いこの区間で順位を上げていくことができるかどうかが、2日間の試合のなかでもポイントになってくる。
第5区 “山登り”といわれる区間。標高100mの湯本の駅から、国道1号線最高点の標高875mまでの高低差775mを、一気に駆けあがるコースで、13kmにわたる急な上り坂がつづき、カーブで選手の姿が見えにくく、コース取りやペース配分がむずかしい。登りに精力をつぎこんでしまうと、後半の急な下りでスピードを出せなくなり、順位がめまぐるしく変わる。登りのスペシャリストならではの走りが堪能できる。

復路(1月3日)
第6区 スタートしてから4kmほど登ったあと、箱根湯本まで一気に下っていくコース。山下りの速さは、速いときには平均で100mを16秒台の前半までアップ! 下りきってからの最後の3kmは平坦なコースだが、選手のダメージが大きく、急に失速してしまったり、感覚的には坂を登っていくように思えてくるほどの、非常にきついラストランになる。
第7区 午前9時前後にトップが平塚に向かって走ってくる区間。正面に太陽を陽射しを受けて走るので、気温はどんどん上昇し、選手を苦しめ、序盤に前を走る選手を無理に追っていくと、後半逆に引きはなされたりするケースが起こる区間でもある。
第8区 トップを走るチームは後ろとの時間差と、あとに控えている選手の能力を照らしあわせながら、順位を考えたペースを決めていく。とくに、この区間あたりからおもしろくなるのはシード権争い。繰りあげスタートで実際のタイムより速くなっているチームは、見た目の順位とはちがう、見えない敵と戦うことになる。コースは平坦で変化がないが、選手たちは順位を気にしながら、それぞれの目標時間に向かって走ることになる。
第9区 選手層が厚いチームにとっては、準エースを投入する区間。序盤の下りを利用して、うまくペースに乗せることができるかがカギとなる。横浜に入ってくると鈴なりの大観衆がなお一層増えてきて、前後とのタイム差をコールしてくれることも! 冷静さを保ちながらレースをつづけ、最終区にタスキをつなぐのがポイントになる。
第10区 日比谷通りから中央通りに入り、この駅伝誕生の地である日本橋を渡るコース。第75回大会から、距離が1.7km長くなり2区、9区とならぶ23kmとなる。優勝やシード権を狙うチームにとって、勝負を大きく左右する区間といえる。最後まで時計を見ながらのハラハラ、ドキドキのゴールとなる!
箱根駅伝
から世界へ!
箱根駅伝に出場するということは、いまやオリンピック選手になることに勝るとも劣らないような夢の舞台になってきました。最近はテレビの全国中継がはじまり、大学スポーツとしてはもっとも知名度が高い大会となったのです。しかし、それが逆に選手の目標をこの駅伝で終わらせてしまって、マラソンの競技力向上につながっていないのではないかという批判まで出てきていますが、本来この大会は、優秀な男子マラソンの選手を育てるという使命をもになっているのです。

長い歴史のなかで、箱根駅伝は数多くの優秀な競技者を送りだしてきました。みなさんも知っている瀬古 利彦選手や、現在のマラソン日本最高記録(2時間6分51秒)保持者で、先程練習日誌を紹介した、藤田 敦史選手もこの大会で活躍しているのです。箱根の選手たちには、この大会の向こうにはマラソンという、日本が誇る競技がまっていることを忘れないでほしいと思います。

2004年のアテネオリンピックでも、この大会から巣立った選手が、日本男子マラソンの代表として活躍してくれるでしょう!
(文:沼澤 秀雄 〜 プロファイルはこちらへ


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