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■ | お正月の風物詩、 箱根駅伝! |
年明けの2日と3日は初詣にいって、おせち料理を食べ、箱根駅伝を見るというのが、日本のお正月の風物詩になったといってもよいほど、箱根駅伝は駅伝ファンだけではなく、全国のお茶の間の人たちをも魅了しています。選手たちが母校の名誉と自己実現のために走る姿は、見ている人にも“今年もがんばろう!”という勇気と希望を与えてくれます。 | ||||||
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■ | 箱根駅伝の歴史 | 箱根駅伝は、正式には“東京箱根間往復大学駅伝競走”といって、関東の大学15校が大手町をスタートし、箱根町芦ノ湖までの往復216.4kmを10人でタスキをつなぐ、日本でもっとも歴史の長い駅伝のひとつです。前年9位以内のチームはシード権をえて、次の大会に出場することができるのです。そして、残り6校をめぐって、10月下旬に予選会が立川の昭和記念公園でおこなわれています。
その歴史は1917年、京都と東京間を東西のチームでリレーした、東京遷都50周年記念東海道駅伝徒歩競走をきっかけにして、第1回大会が1920年2月14日と15日に開催されたとことからはじまります。この背景には、日本人ではじめてのマラソン選手として五輪に参加した金栗四三氏が、マラソン選手を育成しようと呼びかけたことがあるといわれています。そのころの関係者によれば、日本とアメリカの大学でアメリカ大陸を横断する駅伝大会をやろうという、夢のような企画を検討しているなかで、その日本予選会に箱根駅伝を位置づけるという構想があったようなのです。 箱根駅伝がはじまって間もないころは、選手を10名確保することがむずかしく、飛脚(郵便物の運び屋)に走ってもらうという、いわばプロの職業選手をスカウトして活躍させていたという話などが、逸話として語りつがれています。しかし、しだいに世間の注目を集めるようになり、ついに、第63回大会からは全国ネットのテレビ放映がはじまり、毎年25%の視聴率を獲得する人気番組となりました。 最近では、沿道の駅伝ファンの数は100万人を超えるまでになり、切れ目なくつづく応援のなかで走ることは、まさしく選手冥利につきることでしょう。駅伝という日本ではじまった競技は、この箱根駅伝という大学生の大会を通して、日本でもっとも愛されるスポーツのひとつになり、世界にも広がっているのです。 |
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■ | 箱根駅伝の魅力 |
しかし、このチームの象徴ともいえるタスキも、トップから20分以上遅れてしまうと、ルール上、繰りあげスタートになってしまい、途中で渡らなくなってしまうことがあります。これは、交通規制の関係であまり時間をかけられないということが理由なのですが、大事なタスキをつなごうと必死で中継所まで走ってきたものの、そこにはタスキを渡すはずの選手の姿がないというシーンをテレビで見てしまうと、なんとも無情な、やるせないものを感じるのですが、同時に、それも箱根駅伝の魅力のひとつとであることも事実なのです。 また、ほかの駅伝では例がない、20km以上の距離を10人で走るということも、箱根駅伝のおもしろさになっています。5kmや10kmの距離であれば、能力に恵まれた選手は余裕で走りきってしまいますが、20kmという長丁場はいくらインターハイで活躍した選手でも、年間を通したトレーニングなしでは走りきれないのです。 さらに、選手10人というのは優勝をめざすチームにとっても、箱根駅伝出場をめざすチームにとってもきびしい人数なのです。現在では箱根に出場しているチームの平均タイムは、10kmで29分台、20kmでも62分以内になっています。この高いレベルをクリアしてくる大学は、1年間を通して箱根だけを目標に生活しています。そんな生活が紹介されると、つい走っている選手を応援したくなるというのも納得してしまいます。 そのほか、大手町から芦ノ湖までの区間が変化に富んだきびしいコースであることも、見ているものにとっては楽しさのひとつになっています。とくに5区と6区の箱根の山を走るというレースは、自転車のツールドフランスを思いおこさせてくれます。箱根の山に向かって、選手たちが自分に負けまいとして必死に走っている表情は、私たちに普段の生活ではあまり感じることのできない、何事も決してあきらめずに、ひとつの目標を目指していくという、大学生らしい純粋な印象を与えてくれるのです。 今年も、選ばれた150人のランナーは、大学のユニフォームとチームの絆ともいうべきタスキを身につけて、大都会から箱根の山に向かって走っていきます。レースでは10人全員がうまく走るということはむずかしく、よく走ることができた選手やうまくいかなかった選手が出てきます。それは、どこか、私たちの人生にも似ているようで、だからこそ箱根駅伝はおもしろいといえるのです! |
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(文:沼澤 秀雄) |
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