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走ることとオリンピック |
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ギリシャで発掘された、古代オリンピックの競技場。この競技場のタテ、“1スタディオン(192m)”の一直線で、当時のギリシャ最速の男を決する短距離走がおこなわれた。 |
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現在、競技スポーツ最大の祭典といえばオリンピックです。なかでも、人類最速を決する陸上競技100mは、毎回もっとも注目される種目の1つです。数あるスポーツのなか、あっという間に終わってしまい、しかもまっすぐ走るだけのこのシンプルな競技種目が、どうして世界の注目の的になるのでしょうか? そのヒントを探るために、近代オリンピックの前身となる、“古代オリンピック”に関する資料から、競技スポーツとしての走ること、そのルーツを探ってみましょう。
古代オリンピックは、紀元前776年の第1回大会から4年ごとに開催され、393年まで、じつに1200年もの長きにわたって続いた、古代ギリシャ時代の芸術とスポーツの祭典なのです。この古代オリンピックでは、1回大会が開催されてから第13回大会までの約50年間、たった1つの競技が行われていました。その競技は“1スタディオン”と呼ばれる短距離走です。スタディオンは、競技場を意味する言葉で、この競技場は現在の陸上競技場をさらに細長くした形で、そこには長さ約192m、幅約28mの直線走路があり、一度に20名までが走れるようになっていました。そして、この直線走路を誰がいちばん速くゴールするかを競った短距離走のことを、“1スタディオン”というのです。 |
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