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01 なぜ、食べるのか?

#1 スポーツ選手にとって、“食事”とはなんだろう?

食欲を満たすだけのもの?
スポーツをする、しないにかかわらず、誰もが毎日食事をするわけですが、これはお腹がすくから食べているだけなのでしょうか? 食事本来の意味について、考えてみましょう。
口に入れた食べものは、胃や腸などで消化・吸収されます。このうち、食べものに含まれていて、人のからだになんらかの働きをする物質を、栄養素と呼びます。


食事は、からだに栄養素を補っています。栄養素は、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに分類することができ、私たちのからだで、なんらかの役割を担っています。これを、栄養機能を呼びます。
食事は、食欲という五感(視覚・味覚・臭覚・聴覚・触覚)に訴えかけ、心とからだを満足させてくれます。そのため、食事は多くの人にとって、楽しみのひとつにあげられるのです。これを、感覚機能と呼びます。
食事は、憩いの場を提供してくれます。家族や気のあった友だちと食卓を囲んでの語らいは、人間関係を円滑に保つだけでなく、その日のストレスから解放してくれます。

このような栄養素の働きを考えると、選手だからこそ、トレーニングの一環となる“食事”に気をつける必要があるのです。

1つの食品に、1つの栄養素?
たとえば、“肉=タンパク質”“牛乳=カルシウム”などと、考えていませんか? もちろん、まちがった考え方とはいいません。たしかに、これらの例のように、食品には、特徴的な栄養素が多く含まれる場合もありますが、それは決して1種類だけではなく、さまざまな栄養素が含まれているのです。とくに、海や畑から生まれた天然の食品には、含有量は少なくても、生理的に重要な働きをしている生理活性物質(機能性物質)が数多く含まれています。

これさえ食べていれば……?!
illust“ポパイはほうれん草を食べると……”“有名選手はスペシャルドリンクを飲むと……”など、ある1つの情報だけを過大評価していませんか? マンガのなかのポパイはともかく、“スペシャルドリンク”でめざましい成績を残しているアスリートがいるとしても、その裏側では、“バランスのとれた食事”が基本となっているはずです。
もし、ある1つの食品で劇的な効果が期待できるならば、逆の場合はどうなるのでしょう? おそらく、その食品を摂らないと、からだが動かなくなるのではないでしょうか。
“ご飯”はエネルギー源になるといっても、ご飯だけを食べても、からだが思うように動かないのといっしょです。“そんなことは、わかっている”とおっしゃる方も多いかとは思いますが、“では、どんな食事をすれば、からだを思うように動かすことができますか?”という問いに、明快に答えられる方が少ないのも、事実です。
そこで、“かしこい”食べ方を実践するために、まず、基本となる栄養素の働きについて勉強しましょう……スポーツに限らず、“基本が大切”ですから。



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