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00 水――なくてはならないもの


 #3 水だけではなく、失ったナトリウムを補うことを忘れずに。

水だけ飲めばいいわけではない
脱水には水分の不足で起きるもののほかに、ナトリウムの不足で起きるものがあります。
水不足型では細胞外液の濃度が高くなる(簡単にいえば血が濃くなる)ために浸透圧がかかり、細胞内の水が細胞膜を通って細胞外液のほうに出てしまい、からだの不調が起きます。
ナトリウム不足型では反対に、細胞外液の濃度が低くなって細胞外から細胞内に水が移動してしまいます。その結果、血液の量が不足してしまうのです。
ナトリウム不足型の脱水の原因にはいろいろありますが、一般に起きやすいのは多量の発汗があったのに、水しか飲まなかった場合です。
汗は薄い食塩水といってよいようなものですが、ふつう汗腺では食塩(塩化ナトリウム)が再吸収されています。ところが発汗が激しくなると、この再吸収が追いつかなくなってしまうのです。
通常の汗の塩化ナトリウム濃度は個人差が大きく、0.2ないし0.5%ほどです。したがって1リットルの汗の中に、2ないし5グラムの塩化ナトリウムを含むことになります。この状態で水だけ飲むと、塩化ナトリウムが不足してナトリウム不足型の脱水症になってしまいます。

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水と塩分だけでは不十分
生命は海で誕生したといわれています。私たちは体内に“小さな海”を抱え込んでおり、今もそれを化学反応の場にしています。体液が海水に近いものでないと生命活動はうまくいきません。
海水は塩分以外に各種のミネラルを含んでいます。同様に、私たちは水と食塩をとっているだけでは不十分なのです。
汗にはナトリウムのほか、微量ではあってもカリウム、マグネシウム、各種の塩化物などが含まれており、発汗が大量になるとそれらも失われていきます。
これらのミネラルのバランスが崩れると神経や筋肉のはたらきなどが狂い、運動能力が低下するだけでなく、筋肉の痙攣など思わぬ事故の原因になります。

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自分に合ったスポーツドリンクを
水分の補給は、自分の体質や体づくりの程度、条件などを知ったうえで、スポーツする環境、運動の時間や強度、衣服なども考慮して、計画的に十分にとるべきです。
いまだに、水分をとると余分な汗をかいて疲労が早まるとか、腹痛が起きるという人がいますが、正しい水分補給がなされるなら、そのような考えには何の根拠もありません。
体質、肥満、精神的な問題、病気などで異常に汗をかくこともありますが、水分をとるから汗をかくわけではありません。かりに余分な水分をとっても、それは尿によって調節されます。
このように、水分だけではなく、ナトリウムなどを補給するためにも、よく設計されたスポーツドリンクを上手に利用することは、記録の向上などに役立ちます。また、自分の調子をみながら、既製品に手を加えるなどして自分なりのスポーツドリンクを工夫してみるのもよいでしょう。




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