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00 水――なくてはならないもの

 #1 あまりに身近、それゆえ気がつきにくい水の大切さ。

水は栄養素
人体の60%は水で、その水分の2/3は細胞の中にあります。たとえば骨格筋の80%は水であり、さまざまな物質が、その細胞内の水に溶けた状態で、分解されたり合成されたりしています(細胞内液)。
体内の水の残り3分の1は細胞の外にあって、血液などの水分として、細胞が生産したり排泄したものの輸送に役だっています(細胞外液)。人は、細胞外液による物質や細胞の輸送(血球など)なくして生きていけません。血液の93%が水です。
食事をしてからだをつくり、活動するということは、すべて化学反応ですから、体内の温度やペーハー、細胞内液・外液の濃度などが一定に保たれていないと、生命活動はスムースにいきません。これにも、水が重要な役目を果たしています。
運動による発汗はもちろん、汗と感じないのに体表から蒸発する水分(不感蒸泄)が、基本的な生命活動から発生する熱を逃がすのに役だっています(体熱の70〜80%が皮ふから発散)。また尿は酸やアルカリを排泄し、ペーハーの調節に役だっています。
こうして体温が一定に保たれ、体内の水分が60%前後に調節され、ペーハーが7.35〜7.45に維持されていると、からだはいきいきした状態を保てるのです。水はスポーツ能力を高めるのに欠くことのできない栄養素です。

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P. G. Cooper (Ed.) and AFAA, 1987, Aerobics: Theory & practice
(Costa Mesa,CA: HDL Communications).

自覚がない軽い脱水
体重の3%、60kgの人なら1.8kgの水分が失われただけで軽い脱水状態になって、競技力が低下します。5%で中等度、10%で高度、15%をこえると死に至ります。汗で体重が減るのは、脱水症への第一歩でもあるのです。
ふつう軽度の脱水ではのどのかわきを感じません。しかし、体重の2〜3%の軽度の脱水でも競技力は低下しますが、競技力が落ちているのに気がつかないことはよくあります。
また、水泳の選手などはからだが水に触れているため、汗をかいていることに気づきにくいということもあります。ほかのスポーツでも、湿度が低く風が強いといった環境では汗をかいたことに気がつかないことがあります。




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