Thinking about Marine Environment!


02 海の悲鳴:私たちが与えたもの



04. 化学物質・重金属・etc

化学物質・重金属……私たちが海に投げ捨ててきた
あらゆるゴミのはかり知れない影響……。


1988年、北ヨーロッパ、北海沿岸でアザラシ1万8000頭が死滅し、死体が海岸線を埋めつくすという現象が起きました。直接の原因はウィルスによる感染症でしたが、死んだアザラシの体内から、高濃度のPCBが検出されました。PCBがアザラシの免疫力を低下させたことが、大量死に結びついたのです。

PCB、DDT、ダイオキシンなどの有機塩素化合物は、自然界にはもともと存在しない物質です。また、多くの合成化学物質は分解しにくく、海への影響ははかり知れません。

  * → 詳しくは[環境ホルモンについて考える!:02]を参照してください。

また、鉱工業、精錬、メッキなどの工場からの排水、都市排水から、鉄、銅、亜鉛、スズ、水銀などの重金属が海中に流れ出しています。本来、海水中の重金属濃度はきわめて低く、これらの重金属の流出によって、水生生物に影響をおよぼすことがあります。

魚介類を食べることにより、人間の体内に再びもどってくることもあり、熊本県の水俣病(化学工場からの有機水銀が原因)や、富山県の神通川流域でみられたイタイイタイ病(鉱山会社から出たカドミウムが原因)は有名です。

そのほか、プラスチックごみや釣り糸からはじまり、放射性廃棄物にいたるまで、人類は、ありとあらゆるゴミを海に投げ捨ててきました。私たちは陸地のことほど、海のことについて知りません。これらのゴミが与える環境の変化と影響は、はかり知れないのです。


海水中のPCB濃度(1989〜1990年)

map

資料:愛媛大学
[出典]『地球環境キーワード事典』