Thinking about Marine Environment!


02 海の悲鳴:私たちが与えたもの



05. サンゴの死滅・磯焼け、これも人災

サンゴ礁の白化現象・森林伐採による磯焼けは、
陸地における環境破壊が、海におよぼすもの。


オゾン層の破壊は、紫外線を直接海に浸透させ、植物プランクトンや魚類の幼生体の発育を阻害します。また、地球全体の温暖化は、水位の上昇、気候変動をもたらすだけでなく、温度の変化に極めて敏感な海洋生物の生命を脅かします。

白化現象は、サンゴに共生している褐虫藻(かっちゅうそう)が離れて、サンゴが白くなる現象です。サンゴは、褐虫藻の光合成により栄養の大半を補給しているため、白化が1週間から1か月程度続くと、栄養失調で死滅します。褐虫藻が離れる原因は、海水温度の上昇であるとされています。1998年には、熱帯全域でこの白化現象が見られたことが、ダイバーたちから報告されました。

河川の上流にある豊かな森林がつくり出す、有機土層からの栄養分が海へと流れ出すことにより、プランクトンや海草は育ちます。また、河口付近には、プランクトンや海草を餌とする魚が集まり、絶好の漁場ができ上がります。

ところが、陸地で森林伐採が進むと、大雨が降った際に、粘土鉱物を含む無機土層が海に流出します。粘土鉱物が付着すると海草は枯れ、岩盤が粘土層に覆われると、海草の胞子が着床できなくなります。そのかわりに、まっ白い石灰藻が岩盤を覆いつくす現象が、磯焼けです。

磯焼けは、現在減少するどころか、増加しています。私たちが森林伐採をし、ダムを建設することで海への栄養供給をストップさせているのです。日本の漁師はこの現象を古くから認識しており、漁師による植林活動が1950年代から行われてきました。


木本緑化(植林)を行った、えりも町における魚の水揚げ高の経年変化

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[出所]緑と魚のフェスティバル報告書(1992年)
[出典]『海と海洋汚染』

[参考サイト]日本語版リーフチェック
http://coral.h2o.co.jp/index.html#HPindex
グローバルな世界最大のサンゴ礁保全プログラム。白化現象について情報を収集、提供。