訪問・その17 東洋インキを訪ねて解明……“大豆インキ”の謎
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■日本においての、大豆インキの存在は?

NN:限りある資源の節約と、環境の保護……たしかに、メリットは大きそうですが、日本で、この“ソイシール”を見かけるようになったのは、かなり最近ですね。

東洋インキ:アメリカで大豆インキの使用が進んだのは、1990年代の初頭でしたが、そのころの日本では、環境問題に関連して、インキの成分が問題視されることはあまりなく、残念ながら、大豆インキについては“見向きもされていなかった”というのが実態でした。

当社が、大豆インキの生産をはじめたのは1992年ごろでしたが、当初は、やはりアメリカ市場向けとしての生産が多く、輸出が中心でした。日本国内で本格的に使われるようになったのは、1990年代の後半からです。


NN:企業が環境報告書を発行しはじめた時期と、一致していますね。

東洋インキ:企業が、環境負荷の軽減を考えるときに、まず考えることは、製品の製造過程を見直すことでしょう。ただ、生産・販売しているものだけではなく、企業としての活動すべてに責任を持つ……そう考えるなら、製品のパッケージや添えられている説明書、そして環境報告書や会社案内などの印刷物などにも、対策を施さねばならないはずです。そのひとつとして……環境報告書などの例でいえば、再生紙の利用と同時に大豆インキを積極的に利用する、ということだったのかもしれませんね。


NN:いま使われているインキが、すべて“大豆インキ”になる日も近い……のでしょうか?

東洋インキ:環境報告書などの登場で、大豆インキの利用は増えましたが、いまは、従来の石油系のインキか、植物油系のインキか……使うインキを“選択する”という段階です。残念ながら、コストなどを考えると、すべてのインキを“切り替える”というところまでは、まだまだ至っていないのです。

実際に、どの原料のインキを使用するかは、印刷する側……印刷会社が選ぶのが原則です。コストや、印刷時間の短縮などの効率を考えると、すべてを“大豆インキで”とはいかないようです。ただ、最近では、印刷を発注する側の企業が、大豆インキの使用を指定するケースも増えてきているようです。



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