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NN:それでは、最後に残った卵殻膜(卵の内側の薄膜)……どのように処理をされているのですか?
キユーピー:ゆで卵をつくったときにできる、殻と白身の間の薄い膜が“卵殻膜”です。0.07mmの薄さで、主成分として、たんぱく質を構成している“アミノ酸(シスチン)”が、豊富に含まれています。むかしから、この“薄膜”は、傷口に貼るなどの創傷治療に使われており、私たちも、皮膚の治癒能力に注目していました。そして研究の結果、皮膚に柔軟性を与える、“コラーゲン”の産出に効果があることがわかりました。 |
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こうしたおなじみの ドレッシングにも、 卵殻膜を原料とした “卵醤”を配合。 |
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ただ、卵殻膜自体は、水に溶けにくいため加工しにくく、卵殻から分離させたあとは、廃棄処分にしていたのですが、水に溶けやすくする技術の開発を積み重ね、1991年には、卵殻膜を粉末状にする技術の開発に成功しました。それにより、化粧品などの原料となる粉末“EMプロテイン”を製造することが可能になったのです。現在では、高級化粧品などに使用されています。さらに、卵殻膜のたんぱく質は、グルタミン酸、アスパラギン酸を豊富に含んでおり、“卵醤”として、ドレッシングなどの、“うまみ”の添加に使われています。
NN:かつての“お荷物”が、いまでは脚光を浴びるようになったわけですね?!
キユーピー:そうですね。人間の肌との相性がいい、この卵殻膜という素材の新たな用途として、他社と共同で開発しているのが、食品や化粧品以外の分野なのです。 |
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皮膚に対して、柔軟性や保湿性を高めることができるという特性に着目し、卵殻膜パウダーを配合した素材で女性用ストッキングを、他社と共同で開発しました。肌ざわりがよくなるだけでなく、皮膚の弾力性や、張りを向上させる効果が期待できることも確認されており、今後、ほかの衣類への応用も研究しています。 |
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卵殻膜は、たんぱく質を多く含んでおり、さらに、アミノ酸組成を持っています。毛髪にパーマをかけると、毛髪保護成分であるアミノ酸がこわれ、枝毛や切れ毛といった傷みを生じます。そこで、パーマ時に使用するウェーブ剤に、髪の成分に近い、卵殻膜加工粉末を添加。毛髪の傷みをおさえて、パーマのかかりをよくするなど、業務用パーマ剤として化粧品メーカーより商品化されています。 |
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卵殻膜は、動物に由来するアミノ酸の“シスチン”を多く含んでいます。これは、体内に入ると、“L-システイン”という物質に変わり、吸収されます。L-システインは、“美白”に効果があるといわれている物質で、美白ダイエットサプリメントとして商品化されています。 |
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