NN:なんだか、いまでは“孝行息子”といった働きぶりですね?
キユーピー:卵殻膜のさまざまな特性を生かす分野は、まだまだ多岐にわたると考えています。自然素材で、肌への親和性が高いため、保湿や肌の柔軟性を生かした製品へ応用されています。あぶらとり紙などの雑貨分野、肌ざわりの向上を生かした合成皮革など、利用の可能性を模索しながら、取り組みを進めているところです。
NN:毎日、なにげなく使っていたマヨネーズ。実際に使われているのは、卵の一部とは思っていましたが、知らないところで……卵がまるごと、使われているのですね。
キユーピー:卵の殻をどうにか処理したい、という目前の課題がはじまりでしたが、長期間の研究の積み重ねで、いまでは、社内の全工場で、食品の原料として使用する以外の成分を100%再資源化できるようになりました。資源としての卵に対して、最後まで責任を持つのは、“卵の総合カンパニー”としての責任だと思っています。
でも、“畑に肥料として卵の殻を撒く”“殻を砕いて食器を磨く”“卵殻膜を傷口に貼る”……どれも、じつは、むかしからある“知恵”なのです。自ら排出した資源(卵殻や卵殻膜)を捨てずに、できる限り無駄のないように使う“技術”に転換したにすぎないのです。
卵殻・卵殻膜を含めて、卵の持つ、さまざまな特性を生かすための技術や用途は、まだ数多くあると思います。高齢社会の大きな問題になっている、骨粗しょう症への対策も、その例のひとつですが、卵の恵みを、最大限に活用できるように、今後も研究をすすめていきたいと思います。
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