その16 卵を100%利用して……キユーピーは“卵の総合カンパニー”
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■卵殻を食用に……カルシウム強化剤として

NN:その後、肥料(土壌改良剤)から食用へと、用途を拡大されたわけですよね?

キユーピー:それまでは、卵殻を乾燥させて破砕するだけだったのですが、粉状にはなるものの、あまり細かく砕くことができませんでした。食用として加工するためには、微粉化するとともに、不純物である卵の内側の膜(卵殻膜)を取り除かなくてはなりませんでした。

卵殻を洗浄、破砕、乾燥するだけでは、膜を取り除くことができなかったのですが、1981年に、膜を除去する技術を確立しました。これによって、殻をさらに細かく砕くことが可能になり、純粋な卵殻のみを、平均粒子径8〜10ミクロン(1000分の8ミリ)という微粉にすることができました。
卵殻カルシウムの製造工程
そして、研究をすすめるなかで、卵殻のカルシウムは、さまざまな天然の炭酸カルシウム(石灰石や貝殻由来のもの)とくらべて、体内での吸収に優れていることがわかりました。さらに、多孔質(ポーラス構造)になっているため、からだに取り入れやすく、骨密度の増加にも効果的なのです。そこで、微粉状にした卵殻を、現在は“カルホープ”という食品原料(カルシウム強化剤)として販売しています。
左がカルホープ、右が炭酸カルシウム。両者の構造のちがいに注目。
左がカルホープ、右が炭酸カルシウム。両者の構造のちがいに注目。
NN:カルシウム強化……どのようなところで使われているのですか?

キユーピー:“カルホープ”を、さまざまな食品に、カルシウム強化の目的で添加して使うのです。白色で無味の粉末なので、食品の風味や色調を損なうことなく、良質のカルシウムを強化できるため、自社のお菓子や幼児食、介護食だけでなく、他社のカルシウム強化食品にも多く使われています。

さらに、加工食品の重量に対して0.05〜10%、このカルシウムを添加することで、歯ごたえや弾力性の向上など、物性を改良する効果もあります。めん類のシコシコ感や、スナック菓子の口あたりの向上など、食感を増すためにも、使われています。“おいしい”と感じる食感や歯ざわりの秘密が、こんなところにあったりもするのです。

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