その14 “新原料リサイクル”……帝人のめざすもの


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まずはPETボトルのリサイクルから事業化
NN:それでは、すべてのポリエステルを原料とする製品に応用ができるということですね?

TJ:技術的には可能ですが、まずはPETボトルのリサイクルからはじめます。PETボトルは、回収の仕組みがすでにできあがっていますし、ポリエステルの割合が約90%ですから、確実に効率よく原料を回収することができます。

混紡の衣類などからもポリエステル原料を取り出すことは可能ですが、ポリエステルの割合が低いと採算がとれなくなります。もちろん状況さえ整えば、ポリエステル繊維やフィルムなど、PETボトル以外からのリサイクルも考えられます。また、この工程で回収するDMTとEGなど、再利用可能なもの以外はセメントの原料として供給します。

NN:この新原料リサイクル事業は、いつスタートするのでしょうか?

TJ:当初は、2002年度中に徳山事業所内で、年産3万トン(500mlのPETボトル約10億本相当)の規模を想定して事業を開始する予定でした。ところが、この技術に対する行政の期待もあり、現在は2002年3月を目途に立ち上げられるよう、準備を進めています。また、さらにBottle to Bottleの実現についても、要請を受けています。

当社の新原料リサイクルでは、PETボトルからDMTを回収しますが、これを化学反応させてTPA (テレフタル酸)とすることにより、再びPETボトルにリサイクルすることが可能です。当面は、DMTを繊維などの原料として自社で使っていきますが、将来的には、TPAからのBottle to Bottleを実現したいと思います。

NN:“Bottle to Bottle”が実現すれば、PETボトルの需要が増え続けているなか、原料の削減にもつながりますね。コスト面ではどうなのでしょうか?

TJ:新原料リサイクルでは、当社が容器包装リサイクル法におけるPETボトルの“再商品化事業者”となり、入札します。PETボトルを容器として使用し、リサイクルを義務づけられた飲料メーカーなどの“特定事業者”が拠出する委託金をあわせると、コストは従来のマテリアル・リサイクルと同等であるといえます。



*[容器包装リサイクル法の流れについては、“環境経済”基礎講座・第9回をご参照ください]


■PETボトルリサイクル率の予測
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(備考)収集量予測は厚生省の分別収集計画数量(2001年3月発表)を2000年のみPETボトルリサイクル推進協議会で修正
全国の市町村数は3252



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