その13 総合エネルギー産業をめざす……東京ガス


02
二酸化炭素の排出量も、ほかの化石燃料とくらべて低い天然ガス
NN:LNGが環境負荷が比較的少ないといわれるのは、どのような理由からなのでしょうか?

TG:天然ガスの原料はメタンで、炭素の含有量がきわめて少ないのです。ですから、燃焼させた際のCO2の排出量が、石炭など炭素の“かたまり”のような物質にくらべると非常に少ないのです。NOxの排出量は石炭を100とすると、石油は70、天然ガスは20〜40です。また、天然ガスからはSOxは排出されません。それが、石炭や石油よりもクリーンなエネルギーといわれる理由です。

NN:天然ガスを輸出国で液化する際に、エネルギーは使わないのですか?

TG:たしかに輸出国現地で、マイナス162℃にまで冷却する際にエネルギーを消費します。しかし、天然ガスの採掘から、液化、海上輸送、国内の都市ガス製造、お客さま先での燃焼、つまりガスのCO2排出に関する[LCA]、LCCO2(二酸化炭素に関するライフサイクル・アセスメント)をほかの化石燃料と比較すると、同じ熱量を発生させる際に排出するCO2は、石炭を100とすると、石油が77、都市ガスは65で、都市ガスの二酸化炭素の排出量は、はるかに少ないことがわかります。

NN:化石燃料は、石油が40年、天然ガスは60年で枯渇するといわれていますが……?

TG:たしかに、天然ガスの埋蔵量は約60年といわれていますが、需要に見あった新しいガス田が開発されるでしょうし、最近よく聞かれると思いますが、燃える氷“メタンハイドレード”まで含めれば、長期スパンでガスは供給可能であるといわれています。

これよりもっと長期的な視野に立てば、たとえば水素エネルギーのような新エネルギーが実用化されると思われます。しかし、まだ新エネルギーも技術が確立していませんから、そのような代替エネルギーが実用化されるまでのあいだのエネルギー源としての天然ガスは、環境負荷の最も少ないエネルギーとして重要な役割を担うと思います。そのため、ガスを無駄なく効率よく使うことが、現在の最も重要な課題です。

NN:ガスを有効にもっとも効率よく使う、そのための技術開発に力をいれていらっしゃるようですが……。

TG:先ほどのLCCO2、つまり都市ガスのライフサイクルにおけるCO2排出量をみると、最もCO2の排出量が多いのが、家庭や事業所ビル、工場などで、お客さまがガスを燃料として使用する段階です。ですから、ガスを利用する際の効率を高める技術を向上させることが、最重要課題だととらえています。

そのことは、2000年6月に策定した新しい環境方針でも、“お客さまのエネルギー利用における環境負荷の削減”を、方針の第1番目に入れていることでご理解いただけると思います。


■化石エネルギーのLCCO2評価

graph
[出典]エネルギー経済 第25巻1999年8月



prevback to topnext
トップページ プライバシーポリシー サイトマップ
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです
Eyes on the Globe