f Nature Net:環境先進企業お訪ね申す[第1部]
その13 総合エネルギー産業をめざす……東京ガス


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海外から液化され、輸入される天然ガス
今回の訪問先は、首都圏を中心とする1都8県に都市ガスを供給する東京ガス株式会社です。ガスは、地球温暖化の原因となるCO2を排出する化石燃料の1つですが、石油や石炭にくらべると“クリーンな”エネルギーであるといわれています。

クリーンであるとはいえ、化石燃料である以上、いずれは枯渇するはずですし、また、燃焼の際のCO2の排出も抑制しなくてはなりません。

みなさんもすでにご承知のように、私たち人類のこれからの大きな課題は、いかに化石燃料を効率よく使っていくか、そして最終的には、CO2を排出しない自然エネルギーや水素エネルギーなどの新エネルギーにシフトすることができるか、ということだといわれています。

東京ガスは、環境問題に対し積極的に取り組んでいると聞き、こういった課題にどう対処しようとしているのか、これからのエネルギー産業はどうあるべきか、どんな新しい技術が開発されつつあるのか、ぜひお聞きしてみたいと考え、今回のインタビューをお願いしました。

お会いしたのは環境部、環境推進グループの高嶋 英一 課長さんと、環境技術グループの永田 敬博 課長さんです。


Nature Net:私たち、関東の都市部に住む人間は、東京ガスから都市ガスを供給してもらっていますが、そのガスがはたしてどこからやってくるのか、ガスは石炭や石油にくらべてクリーンであると聞いてはいても、燃料としてどういう性質をもっているのか、じつのところほとんど知りません。まずは基礎知識として、都市ガスのことを教えていただけますか?

東京ガス:そうですね。まずガスの歴史をひもとくとわかりやすいのではないかと思います。都市ガスは昭和30(1955)年ごろまでは、石炭を乾溜してガスを製造していました。その後、ナフサなどの石油系原料から、ガスを製造するようになりました。

しかし、石炭や石油からガスを製造する工程で、大量のCO2を排出したり、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)を排出してしまいます。昭和30年代後半から40年代にかけて公害が深刻化し、これをなんとかしようと海外の事例を調査し、天然ガスを使えば原料の加熱が不要になり、SOxやNOxの排出を抑えることができることがわかりました。

しかし、日本には天然ガスはわずかしか埋蔵されていませんので、海外から液化して(液化天然ガス=LNG)輸入しなくてはなりません。海外に液化基地をつくり、そこで液化をした後に、海上輸送して、日本にはLNGを再び気化するため基地をつくらなければなりません。そして、そのためには大規模な投資が必要でした。

当時の経営者にとって、非常に大きな決断だったと聞いています。当時、CO2はそれほど問題になっていませんでしたが、LNGを選択したことでCO2の排出量も削減することができ、温暖化防止にも貢献するということになりました。非常に先見性のある経営判断であったと思います。

1969年、東京ガスは、東京電力と共同で、日本ではじめてLNGをアラスカから輸入し、それ以降、都市ガスの原料としてのLNGの割合が増えていきました。いまでは、当社の原料の大部分を占めるようになっています。産出国は主にマレーシア、インドネシア、オーストラリア、アラスカなど多岐に渡っています。エネルギー資源のほとんどを輸入に頼らざるをえない日本において、天然ガスは、石油にくらべると中東への依存度が低いという点で、安定供給を確保しやすい燃料だといえると思います。


■天然ガスが、日本にやってくる道筋
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[出典]東京ガス



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