その12 IBMは“コンピュータ=資産”で、しっかりリサイクル


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中古品の再生と部品の回収・ストック:リユース・センター
さて、いよいよ藤沢リサイクル・センターの見学です! まずはリユース・センターへ……。

工場内部に入るのも、社員用のカードキーを通さなくてはなならい仕組みになっていて、入室管理も厳重です。
 
NN:かなり厳しい体制ですね。

IBM:日本ではコンピュータの中古部品の市場はそんなに大きくありませんが、海外ではかなり大きな市場に成長しています。このため部品の不正な流出を防止する必要があります。この体制もグローバル・スタンダードですから、日本でも人の出入りをしっかり管理しています。

リユース・センターでは、リース期間が終わって回収されたコンピュータと、IBM社内で使っているパソコンを中古品として再生すること、廃棄されるコンピュータから抜き取ったまだ使える部品を在庫して、リユースに回すことを行っています。

作業プロセスは、まず返ってきた機械がIBMの資産かどうかを確認します。これはもちろん、他人の資産を誤って処理しないためと、汎用性があったり、高価であったり、あるいは技術レベルが高く外には公表したくない部品を保護・回収するためです。回収の途中で、部品などが不正に流出しないように機密梱包して、シールを貼り、搬入されてきます。

返ってきた機械は、最初に損傷、付属品のロスなどを点検します。また、機械内部も、お貸ししたときと同じ状態で返ってきたかどうかを点検します。

次に機械のエラー状況と履歴を確認します。コンピュータは最初にお貸ししたお客さまのニーズに仕様をあわせてありますので、新しいお客さまの仕様にあわせ、もとのお客さまのデータを完全に消します。障害が発見されれば、この段階で修理します。また、中古といえども市場のニーズにあわせてアップグレードします。

次に、品質保証をするためのテストを行います。とくにパソコンは、長時間のテストを行います。最後は、その機械を担当しているスペシャリストが検証して、中古機の品質を確認します。そして、出荷前にクリーニングして、梱包します。

NN:梱包の機密性といい、伝票管理といい、明確でしっかりした管理体制ですね。

IBM:ここまで管理を徹底するのは、資産が外部に流出することを防止するためと、メーカーが最後の最後まで責任持ちますという企業姿勢です。また、メーカー自体が中古機械を流通させることにより、IBMが自分で定めた品質に適合する機械を市場に出すことができます。


IBM:そして、こちらが部品倉庫です。廃棄される機械の中から、使える部品は抜き取って在庫します。再生された中古品や部品の在庫情報は、IBMの世界ネットワークを通じて、必要な場所に供給されます。24時間体制で、部品の需要に対応しています。

NN:世界的なネットワークで部品の供給をするメリットとは、どういったものなのでしょうか?

IBM:世界各国で法律や規制、リース期間などの条件がちがいますから、ある国では、同じ製品や部品の在庫があるのに、かたやその部品を高いお金を出して買っている国があったりするわけです。

たとえば、アメリカは60サイクル(Hz)で、ヨーロッパは50サイクル(Hz)です。日本は両方使っていますから、どちらへも供給し、そしてどちらからも供給を受けることができます。また、アメリカなどはリース期間が日本より短いので、比較的新しい製品が中古品として供給できるようになります。中古製品や部品のデータを世界中で共有化することで、IBM内で需要と供給を調整することができるのです。

このように、部品や中古製品の需要と供給を、IBMコーポレーションのネットワークを利用して調整するサービスをIBMでは、GARS(Global Asset Recovery Services)と呼んでいます。GARSを実施している藤沢リサイクル・センターのような拠点は、全世界にあります。
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(リユース・センター)
リース期間が終了し、IBMに返却された機械を検品

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(リユース・センター)
再生処理をする機械を伝票で管理

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(リユース・センター)
大型コンピュータの再生工程

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(リユース・センター)
手作業によりクリーニング

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(リユース・センター)
再生された中古品を、再び機密梱包



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