その12 IBMは“コンピュータ=資産”で、しっかりリサイクル


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使用済みのコンピュータが、“資産”とは?
今回は、前回ご紹介した日本アイ・ビー・エム株式会社の、藤沢リサイクル・センターを見学させていただくことになりました。

神奈川県にあるIBM藤沢工場で出迎えてくれたのは、物流ロジスティック開発、主任物流担当次長の佐藤さん、物流担当部長の須藤さん、リユース・センター担当の塩ノ谷さんと、リユース・センタープログラム担当の小玉さんです。みなさん強者の技術者ぞろい、取材するほうも緊張です。

まずは会議室でIBMのリサイクル活動方針と、リサイクル・センターについてお勉強です……。



◎リユース・センターとリサイクル・センター

藤沢リサイクル・センターは、1967年にIBM藤沢工場が開設された翌年に、工場内に併設されました。センターが開設された当時、コンピュータといえば非常に大きく、高価なもの、使うのは企業に限られていました。

また、コンピュータは売るのではなく、IBMの資産であるコンピュータを企業にレンタルする方式が、一般的でした。レンタルであるということは、お客さまに貸し出しているとしても、IBMの資産であるコンピュータを管理・保守するシステムが必要だったのです。その役割を担ってきたのが、リサイクル・センターでした。

時代は進み、パソコンが生まれ、家庭にもパソコンが普及し、コンピュータは買い取るものであるという意識が、私たち消費者には一般的なものとなりました。しかし、企業などが使うパソコンやコンピュータは、依然リースやレンタルが中心です。リース期間が終わったコンピュータは、IBMに再びもどってくるのです。

日本国内に流通しているIBMのリースやレンタル製品と、IBM社内で使われているパソコン、情報機器のすべてを、藤沢リサイクル・センターと、滋賀県の野洲リサイクル・センター、大阪のリユース・センターで処理しています。

藤沢リサイクル・センターは、実質的には2つの機能があります。製品を中古機として再生させたり、使える部品だけを取り出して再利用する“リユース・センター”と、もはや修理をしても再生することのできないパーツなどを、素材ごとに分解・分別してマテリアル・リサイクルを実施する“リサイクル・センター”です。


◎製品の現在価値によって処理を段階的に選定

IBMのリサイクルでは、製品の現在価値にあわせた段階的な処理をほどこします。まず、第1段階では製品を中古品として再生、第2段階は使える部品を抜き取ってリユース、そして最終段階として、製品としては使えないパソコンやコンピュータをマテリアルとしてリサイクルします。

まだ比較的新しくて資産価値の高い製品は、少ないコストで中古品として再生させることができます。中古品に再生することにより、素材のリサイクルへの排出量を抑えることもできます。こうして最も効率よい資産運用が可能になるのです。同時に再生処理にかかる環境負荷を低減しますから、それだけ環境にもよいというわけです。

■IBM 製品処分の優先順位
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[出所]IBM

◎厳しい社内規定による世界的な統制

藤沢と野洲リサイクル・センターは、IBMコーポレーションが制定している環境プログラム、資産管理プログラムにしたがって運営されています。それぞれのプログラムは、IBMコーポレションが、世界中のリサイクル拠点が準拠すべきCIやCP(Corporate Instruction=社内規定、Corporate Procedure=社内手順)として発行され統一を図っています。

また、環境プログラムは、廃棄物管理や有害物質管理に関するIBMの社内規定と、国内の環境に関する法律や条例に準拠して運営されるようになっています。

一方、資産管理プログラムとは、ハードウェア、ソフトウェア、技術などの資産をプロテクトするためのガイドラインや手順です。

IBMのリサイクルで特徴的なことは、中古製品や廃棄物でもIBMの“資産”であり、それをプロテクトして、充分活用するべきであるという概念が組みこまれていることです。リサイクルも資産管理の一貫であるという考えは、企業の経済的な負担ばかりが強調される一般的な環境対策とは、ずいぶんと異なった考え方といえるでしょう。

■IBM 部品/機器 返却後のプロセス
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[出所]IBM



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