その11 環境問題を先取り……世界の“先端を行く”IBM


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環境対策のメリットを具体的な数字で表す
NN:早めの環境対策による経済メリットは、具体的な数字として表れているのでしょうか?

IBM:はい、環境会計などで明らかにしています。IBMでも、1977年にデイトンで化学薬品の漏洩事故がありました。それを契機に、世界中に2,500あったといわれる地下タンクを、1980年までの3年間で全部地上に移設しました。そのときに数百億円の費用がかかったのですが、タンクを地上に上げて、タンクの1.5倍の容量のプールのような“防液堤”で囲い、パイプも地上に上げてこれも樋で囲い、化学薬品が漏れないようにしました。

これによって土壌・水質汚染が防げるようになったので、結果的に修復費をかけなくてすむようになりました。一度土壌汚染などを起こすと10億円単位のお金がかかりますから、この投資は非常に効果があったのです。

では、どれくらい効果があったのかというと、毎年事故の情報を集めていますが、たとえば1999年には71件事故がありましたが、10件前後が防液堤でくい止められています。

つまり、早め早めの、しかも“法律を越えた”対策が重要なのです。日本だと、法律ができてから対応するとか、法律があるから守るというケースが多いと思います。しかし、こと環境対応は、年々厳しくなるばかりですから、法律を越えた対応をすることが、企業の倫理という面でもすぐれているし、経済面でも効果が出ると、IBMは考えています。


■製造における環境負荷低減の例:地上タンクと二次容器(防液堤)

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防液堤の内部。タンクの1.5倍の容量をもつ防液堤の中には複数のタンクが収納されている。それにより、防液堤の高さを低く抑えられ、目で確認することができる。
[出典]日本IBM『環境プロムナード』
[写真提供]日本IBM



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