その9 社会と“共に”考える環境対策、資生堂を訪問


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商品開発の“エコスタンダード”とは?
Nature Net:Nature Netの読者には女性も多く、ふだんお世話になっている(?)資生堂への関心も高いのではないかと思います。使わない日はないといってもよいほど、私たちの生活に資生堂製品は浸透している反面、資生堂の製品にどのような環境配慮がなされているのか、私たち消費者はほとんど知りません。資生堂には、どういった環境に対する配慮、基準があるのでしょうか。また、それをどのように製品に反映させているのでしょうか?

資生堂:まず資生堂の環境対策の大前提となる、“グローバル・エコスタンダード”についてご説明したいと思います。

環境対策において取り組むべき課題への対応を体系化するために、資生堂は企業活動を[1:商品開発][2:生産・調達][3:物流][4:販売]の大きく4つの段階に分けて、それぞれの領域の行動指針を定めました。これがエコスタンダードです。4つの領域でそれぞれについて[a:基本方向][b:(社会環境・自然環境・法律に基づいて具体化した)設計基準・活動基準][c:運用基準]を定めています。

ご質問は、“商品開発”の段階においてのエコスタンダードについて、ということになるかと思います。そのポイントは4つあり……

1)使用中や廃棄後に、人体や環境に有害な物質を放出しない。 つまり、問題となっている“フロンは使いません”“塩ビは使いません”といったことです。

2)過大な包装はしない(省資源、廃棄物の減量化と減容化)。 パッケージの形を簡素化したり、レフィル方式を採用して使う素材量を削減する工夫をしています。また、ケナフなどの自然素材をパッケージに採用したりもしています。

3)資源の枯渇に配慮して原材料を選択する。 再生PET、再生アルミ、再生ガラスなど再生材を使うことをつねに考慮しています。98年には、業界ではじめて再生ポリプロピレンも採用しています。98年にリニューアルされた女性用スキンケアシリーズのガラスびんは、70%再生ガラスを使用しています。

4)リサイクルしやすい容器形態や素材を選択する。 たとえばリサイクルできない素材は使わない、また化粧びんのボトルとキャップなどに異種材料を組み合わせる場合は簡単に取りはずしができるようにして、分別排出ができるようにしています。

NN:資生堂の商品とひとくちにいっても、多種多様です。それぞれの商品について環境評価を与えるのはむずかしいですよね?

SSD:そこで、新製品の規格・設計を定量的に事前チェックするために、“製品のエコ評価シート”を作成し、1998年から運用を開始しました。容器形態別に、環境配慮度を項目ごとに点数化しています。

使った素材ごとにプラス・マイナスの点をつけ、この製品は合計で環境配慮度が何点になるのかを算出しています。そして、年間を通して開発した商品の総合点で、年度ごとに、どれくらい対応ができたか、その成果を相対的に評価していこうと考えています。ちなみに1998年6月から1999年3月までに開発した526(!)品目の評価をまとめたところ、基準の100点に対して高い点数をあげることができました。

こういったスタンダードは、資材の調達先であり、ビジネスパートナーである原材料の取引先にも情報を開示し、協力していただいています。生産・調達のエコスタンダードでは、“資生堂グリーン調達基準”を1999年9月に制定し、取引先のみなさまに配布しています。資生堂が取引先に要望する項目を明確にし、資生堂からも積極的に支援活動を行うことを明言しています。


■資生堂グローバル・エコスタンダード
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[出典]資生堂・99年版環境報告書



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