その5 製鉄の技術が“ゴミを溶かす”川崎製鉄環境事業部


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いよいよ溶融炉を見学
次に、プラント内を案内していただきました。プラント内は、金属管がぎっしりとつめこまれていますが、整然としていて暑くもありません。

KS:ゴミピットから、クレーンで、ゴミをプレス機に投入します。ここでゴミを圧縮して、伝熱効率を向上させるように処理します。圧縮されたゴミは、脱ガスチャンネルに押しだされます。脱ガスチャンネルでは、外側から熱を加えてゴミを乾燥させ、脱ガスします。ここで炭になるべきものは炭になります。

炭になったものは、次に高温反応炉の下部に押しだされます。そこへ酸素を吹きこみ、炭と酸素を反応させます。すると、溶融炉の下部は部分的に2000℃の高温状態になり、陶器、ガラスやアルミ、鉄、銅などの金属類を溶かします。こちらがその高温反応炉です。 さわってみますか?

NN:え! さわってもだいじょうぶなんですか!? (おそるおそる、さわってみる)外側はぬるいお風呂ぐらいですね。意外に小さいし。なかは2,000℃なんて、思えませんね。



川鉄サーモセレクト方式の構造

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発生物すべてを再利用
溶融された“がれき”や金属類は、1,600℃に保たれた均質化炉を通った後に水で冷却し、メタルやスラグとして回収します。メタルとスラグは磁石で分別し、メタルは金属の原料となり、スラグは道路の路盤材などとしてリサイクルすることができます。

一方で、発生したガスは高温反応炉の上部に上がります。ここでも酸素を吹きこんで温度を1,200℃に保ち、2秒間ガスを滞留させた後、ガスを急速冷却塔で1,200℃から70℃に急速冷却します。ダイオキシン類は完全分解され(ガスの改質)、再合成されることもありません。

急速冷却されたガスは精製され、燃料ガスとして回収します。ガスを精製する際に発生した硫黄は、硫酸の原料になります。また、ガス冷却水を処理して混合塩と金属水酸化物を精製し、それぞれソーダ工業と非鉄金属の原料として使用することができます。もちろん、処理水は再び冷却水として循環させています。

NN:精製されたガスはどのように利用するのですか?

KS:精製されたガスは、ガスエンジンや燃料電池の燃料として利用することが可能です。このプラントでは、精製されたガスは千葉製鉄所内で発生したガスと合わせて、敷地内の発電施設に送っています。


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[左]プラント構内(上部はゴミの投入路) [右]これが高温反応炉。



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