その3 “ビールからエビオス”……優等生・アサヒビールを訪問!


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ビールビン、アルミ缶、ペットボトルのリサイクル
NN:次にビールの容器包装……具体的にはビールビンとアルミ缶のリサイクルについておうかがいしたいのですが。ビールビンはほぼ100%、アルミ缶は70%の回収率だと聞いていますが……。

AB:そうです。まずビールですが、工場 → 問屋 → 小売店 → 消費者、あるいは私の好きな酒場(笑)などに流れていくわけですが、ビールビンの回収は、出荷の逆流通ルートで回収されます。一部はビン商さんによる回収もあります。

NN:古き良き流通経路ですね。小型のビンを使ったスタイニーが流行って、ビンの回収に苦慮されたと聞いたことがありますが……。

AB:スタイニーは、ワンウェイ消費に慣れた方が購入したので、当初は非常に回収率が悪かったのです。テレビ広告で酒屋にもどすよう再三呼びかけ、現在は91%までになりました。

NN:アルミ缶の回収はどうですか? 私たちは通常、自治体の資源ゴミとして出していますが、その後はどうなるのでしょう?

AB:アルミ缶は、自治体もしくはボランティア団体による回収が主体です。アルミ缶リサイクル業者が、アルミ缶の再生を行っています。そして、業者からわれわれがまた買うという経済システムがすでに確立しており、回収率は現在74.4%です。昔はプルトップの部分がちがう素材でできており、リサイクルしにくかったのですが、現在はその問題も解決し、高い回収/リサイクル率が達成できたのです。2年ぐらい後にはリサイクル率80%ぐらいなるものと思われます。

NN:缶ビールの値段にあらかじめ缶代を上乗せしておき、消費者が販売店に缶を返すと、缶代を返してくれるデポジット制の導入も検討されているようですが、アサヒビールとしてはどのように思われますか?

AB:デポジット制度による回収率はドイツ、アメリカなどでも80〜90%ぐらいです。日本はいま、74.4%ありますから、既存のシステムで十分対応できると考えています。それより、デポジット制度を導入するためのインフラ整備、流通関係者の負担を考えると、ここまでできているのだから、新たに投資をする必要があるとは思えません。

NN:なるほど。


容器包装リサイクル法の施行に対して
NN:容器包装リサイクル法がこの4月から完全施行になりましたが、対応はどのようにしていらっしゃいますか?

AB:おかげさまで、ビールびんは100%自主的に回収しリサイクルしているので、90%以上の回収が要求される自主回収認定を受けています。アルミ缶は市場で有価で取り引きされているので、これも対象外です。ただ、ワインビンとか、特大ビンに関しては回収率が低めなので、日本容器リサイクル協会に相応分の負担をさせていただいています。

ただ1つ頭の痛いのが、ペットボトルですが、この問題は現在過渡期だと思うのです。ペットボトルを日常的に使うようになったのは、ここ3〜4年です。ペットボトルの再資源化の道は、まだ技術的にも、経済性も研究段階です。アルミ缶も問題視された時期がありましたが、リサイクルの方法が確立すれば誰もなにも言わなくなる。ですからペットボトルについて、容器包装リサイクル法の有効性を論議するのは時期尚早なのではないでしょうか。もう少し長い目で見てほしいと思います。

NN:容器包装をリサイクルではなく、ビールビンのようにリユースして使えないものでしょうか。

AB:資源枯渇などの問題がありますから、リユースして使うのが理想だとは思います。ただ、厳密に[ライフサイクル・アセスメント:LCA]を行うと、リユースするのとリサイクルするのと、どちらが環境負荷が少ないのかむずかしい問題です。

たとえば、ビールビンをリユースするために工場に持ち帰り洗浄しますが、その洗浄のためにビールビンの容量の8倍もの水を使うことになります。1回目の洗浄水は、安全上どうしても捨てなくてはなりません。2回目以降の洗浄水はクローズド・システムで回していますが、このためには多大なエネルギーを必要とします。また、アルミ缶と比べるとビールビンは重いので、輸送のためのエネルギーを使いCO2を排出してしまいます。そういうことも観点に入れて厳密に計算すると、リサイクルとリユースとどちらが環境によいかは簡単にいえません。


リターナブル容器の回収状況
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アサヒビール[エコレポート]



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