|
大きなタンクが2つ……。
|
NN:大きなタンクが2台ありますね。この工場ではどういった処理が行われているのですか?
IY:まず、回収された発泡スチロールは粉砕機にかけられ、約2cm角ぐらいに砕かれます。さらに、第2粉砕機に吸いこまれ、もっと細かく粉砕されます。粉砕され、フレーク状になったスチロールは、回転歯を通り、すりつぶされます。
すりつぶされる際に、空気が抜け、80℃から110℃の摩擦熱が発生します。その熱で、スチロールはやわらかくなります。このやわらかくなったスチロールを成形して、幅20cm、長さ100cm、厚さ2cmの板に加工します。
加工された板の重さは約6kg。回収されたスチロール2袋(約1立方メートル)で1枚の板ができます。1日100枚、繁盛期では1日160枚生産されます。さわってみてください。成形されたばかりの板は、まだやわらかいですよ。
NN:なるほど、ウレタンみたいですね! ところで、この板に加工した後、どうするのですか?
IY:香港などの東南アジアに輸出します。そこで溶解して、プラスチックの原料に再加工されます。ビデオテープの箱や、色のついたプラスチック製品などの原料になります。
NN:ここで、プラスチックの原料になるまで、処理するわけではないのですか?
IY:生鮮センターに設置できるというのが、この工場の“みそ”なんです。発泡スチロールを溶解する際の温度が140℃以上になると、ガスも発生します。その対策も含め、溶解までするとなると、もっと大規模な処理工場ということになるわけですが、この立地では近隣にも迷惑がかかりますからね。
ここでは、科学溶剤や、熱をいっさい加えず、摩擦熱だけで処理しているのです。ただし、この工場の機械にも、ガス処理や脱臭処理機は設置してあります。それに、温度を低くして処理したほうが、次の加工が容易なのです。発泡スチロールは空気をたくさん含んで、体積の割に軽いのです。スチロールをそのまま次の加工工場に運ぶと、輸送の回数が増えますから、コストも環境負荷も高くなります。そこでスチロールの体積を減らし、リサイクルのための原材料として加工するのが、この工場なのです。
NN:店舗からのもどり便を利用して、回収した発泡スチロールを運び、圧縮して、原材料に加工し、次の工程に運ぶまでの輸送コストを減らす……結果、輸送の回数が減り、環境負荷も減るということですね。
|
|